岡山大学のヘリウムリサイクル
2025-09-05 02:04:21

岡山大学が推進するヘリウムリサイクルネットワークの実証実験開始

岡山大学が新たに始動させた「中四国・播磨ヘリウムリサイクルネットワーク」(以下、HeReNet)は、化学や物理学の研究に欠かせない液体ヘリウムのリサイクルを推進する取り組みです。このプロジェクトは、限られた天然資源である液体ヘリウムの持続可能な利用に重きを置き、地域の大学や高専、企業と協力しながら安定供給体制の構築を目指しています。

現在、液体ヘリウムは国内で生産されていないため、全量が輸入に依存しています。そのため、近年のコロナ禍や国際的な情勢の変化などが価格に大きな影響を及ぼし、多くの研究機関がヘリウムを入手することが困難な状況に直面しています。岡山大学では、すでに液体ヘリウムを供給し、その際に発生するヘリウムガスを効率的に回収するシステムを構築しています。このシステムを基に、地域の他の教育機関や企業との連携によって、より広範なリサイクルネットワークの実現を図るのが今回のプロジェクトの主な目的です。

2025年7月10日と8月28日の2日間、津島キャンパスで実施された実証実験には多くの関係者が参加しました。実験では、ガスボンベからガスの回収、そして特定のガスバッグからの圧縮したヘリウムガスの詰め替えを行いました。両日にわたる実験は成功裏に終わりましたが、今後も段階を踏んでさらなる実証を重ね、実用化に向けた体制を整えていく予定です。

このリサイクルネットワークは、岡山大学の研究機関が持つ液体ヘリウムの液化設備を活用するだけでなく、地域との連携を強化することが期待されています。文部科学省の助成により、2026年度末までにはヘリウム液化装置の更新も計画されており、これにより持続可能な研究環境が整備されます。

岡山大学は、地方の大学でありながら、地域の中核を担う研究機関としての自覚を持ち、イノベーションの創出に貢献しています。このHeReNetを通じて、地域の大学や高専、企業が力をあわせ、ヘリウムを活用した研究・開発を推進することができれば、国内研究水準の向上にもつながると考えています。この取り組みを通じて、岡山大学は地域と連携しながら、社会のニーズに応える研究機関としての役割を果たしていくことでしょう。

この先も岡山大学と、HeReNetに参加する機関の挑戦に期待が寄せられています。地域の研究機関間での情報交換や共同研究の促進を図るとともに、ヘリウムの安定供給実現に向けた努力を続けていく方針です。私たちは、地域社会と共に歩みながら持続可能な未来を築くための努力を惜しまない姿勢で進んでいきます。これからの成果が非常に楽しみです。


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会社情報

会社名
国立大学法人岡山大学
住所
岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス本部棟
電話番号
086-252-1111

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