近年、働き方改革が注目を浴びる中、企業がその取り組みを進める姿勢が変わりつつあります。特に、豊田鉃工株式会社は、男性の育児休業取得の推進において際立った取り組みを行っています。愛知県豊田市に本社を構える同社は、株式会社ワーク・ライフバランスが主導する「男性育休100%宣言」に賛同し、取得率100%を目指す意欲を示しました。この宣言は、経営トップが率先して育児休業の取得を促進し、組織全体で取り組むことを目的としています。2019年のスタート以来、賛同企業は増加し、今や235社にまで達しました。
豊田鉃工では、2018年度から「働きがい改革」を推進し、社員の幸福度向上に注力してきました。第1歩として、全社的な心理的安全性を重視し、業務環境の改善課題に取り組む取り組みを進めています。2023年11月には、社長の坂元康彦氏が管理職向けに「業績とモチベーションが上がる働き方改革」と題した講演を行い、さらなる意識改革を促しました。そして、2024年度には現場の意識革命を促す「MYカエル3活動」を全社展開し、仕事の仕方や意識を変えることを目標としています。これにより、社員が主体的に未来を選び取る力を育むことを目指しています。
このように多様な人財が活躍できる組織づくりの一環として、豊田鉃工は2020年から男性育休の取得に力を入れ始めました。2022年度には育休取得率が33%に達し、2024年度には74%となる見込みです。さらに2025年度には100%を目指して取り組むことが決まっており、平均取得日数も53.05日に達する見込みです。これらの成果を社会に示すべく「男性育休100%宣言」への賛同を改めて表明しました。
坂元社長は、同社の企業文化について、社員一人一人が誇りと働きがいを持ち、働きやすい環境を整えてきたことを強調しています。また、育休取得率100%は単なる数字でなく、育児を支援する姿勢こそが、社会全体の未来を切り開く意義あることを語りました。組織全体で支える風土を築くことで、業務上の生産性向上や社会への貢献も期待されています。
シニアコンサルタントの松久晃士氏は、豊田鉃工の取り組みについて、自ら主体的に変革に取り組む姿勢が評価される点を指摘しました。彼は、従業員が自ら意見を述べることができる職場の重要性を強調し、育休取得を通じて社員同士のサポートが進むことにより、企業全体の活力が向上すると述べています。さらに、育休取得を進めることこそが、より良い職場環境を創出するための基盤であるとし、企業の未来を見据えた重要なステップであると認識されています。
豊田鉃工は、ものづくりの現場から新しい働き方の未来を切り開く企業として、積極的な取り組みと伴走を続けています。今後も変化の兆しの先頭に立ち、社員が安心して働ける環境を構築することへ向け、さらに一層の努力を重ねていく意向です。企業が育休に対して取り組む姿勢の変化は、個々のライフスタイルの向上を超え、広く社会全体の価値観の変容にも寄与することが期待されています。