乳がんを経験した多くの女性にとって、乳房再建手術は重要な選択肢の一つです。NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)が発表した2023年度の「乳房再建に関するアンケート調査」結果は、乳がん患者の心の声を反映した貴重なデータを提供しています。この調査は2013年から毎年実施されており、今年で11回目を迎えました。
調査の目的と背景
E-BeCは、乳房再建手術に対する社会的理解を深めることを目的に、再建手術を受けたことのある患者やこれから受ける予定の患者に対して、意識や考えを調査しています。今年の調査には164名の乳がん経験者が参加し、それぞれの思いや考えが集約されました。
考慮すべき要素
今回の調査結果の中で、乳房再建手術を考える上で最も重要視された項目は「自家組織・人工物の別」という結果が出ました。これは、患者たちが自分の体をどのように再構築したいのかを考える上で、大きなポイントとなることを示しています。また、医師の実績や信頼関係、手術までの過程や費用なども考慮されていることがわかります。
再建に対する心理的なハードル
一方で、乳房再建に対するハードルとして、「再びからだを傷つけたくない」と感じる人が約6割に上ります。この声は、身体的なリスクを避けたいという心理を反映しています。他にも、合併症の不安や経済的要因、長期間の入院による仕事への影響も挙げられました。
手術の効果と感想
反対に、乳房再建手術を受けたことでの「良かった」と思える要因も明らかになりました。特に、精神的な不安が解消されたと感じる人が56.8%に達したことは、手術なりのポジティブな成果を示すものです。他にも、「コンプレックスがなくなった」「おしゃれができるようになった」といった意見も寄せられました。
調査の総括
本調査では、108件の自由記述による感想も収集されており、特に乳房再手術に関する切実な意見が多く寄せられています。情報が不足している地方の現状や、保険適用に関する医療の現場への希望などは、今後の大きな課題となりそうです。
コメントと今後の展望
E-BeC理事長の真水美佳氏は、最近の調査結果を踏まえ、乳房再建手術への関心が少しずつ高まりつつあるとコメントしました。新型コロナウイルスの影響で一時は減少したものの、2023年には再建手術を望む声も復活しているとのことです。今後は、三次再建を検討する人も増えると期待され、この調査がさらなる理解の広がりに寄与することができればと強調しています。
まとめ
乳がんと闘う多くの女性が乳房再建を通じて心の平穏を取り戻しています。この調査結果は、何よりも患者自身の声を大切にしたいという思いから実施されました。E-BeCの活動は、今後も続けられ、乳がん患者が自分に合った情報を得られる機会を増やしていくと期待されています。詳しい調査結果や情報は、E-BeCの公式サイトでご覧いただけます。