量子アニーリングの新技術
2018-09-25 11:18:51
量子アニーリングを容易にする新たな開発『PyQUBO』の魅力とは
量子アニーリングを容易にする新たな開発『PyQUBO』の魅力とは
私たちの日常業務やビジネスプロセスの中で、最適化問題は常に存在します。特にデジタルマーケティングや配送計画などの領域では、これらを如何に効率的に解決するかが企業の競争力に直結します。そこで注目されるのが、量子アニーリングを利用した組合せ最適化問題の解決方法です。今回は、リクルートコミュニケーションズが開発した新しいドメイン固有言語『PyQUBO』の特徴とそのビジネスへの活用可能性について探ります。
背景:なぜ組合せ最適化問題が注目されるのか
組合せ最適化問題とは、与えられた条件の中で最良の解を見つける問題です。デジタルマーケティングや配送スケジュールの最適化に限らず、AIの機械学習においても重要な位置を占めています。しかし、従来のコンピュータではこれらの問題を解決するのに多大な時間と工数がかかり、実用化が困難でした。
2015年から量子アニーリングの研究を始めたリクルートコミュニケーションズは、これらの問題に革新をもたらすことを目指しています。量子アニーリングは物理法則を用いた新しいアプローチで、多くの局所解を持つ問題に特に効果的です。
『PyQUBO』の誕生
量子アニーリングを活用したデータ解析手法における研究の成果として、『PyQUBO』が生み出されました。これは、量子アニーリングマシンで用いるQUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)形式を自動的に生成するドメイン固有言語です。
従来は、ユーザーが問題を数式化し、それを手作業でQUBO形式に変換する必要がありました。この手順は複雑で、エラーを引き起こす危険がありました。しかし、『PyQUBO』を用いることで、ユーザーは数式をそのまま記述するだけで、自動的にQUBOが生成されるため、手間を大幅に削減可能です。
使いやすさの向上
例えば、巡回セールスマン問題などの典型的な最適化問題では、条件を簡潔に記述するだけでQUBOを生成できます。このことにより、ユーザーが直感的にアニーリングマシンを利用できる環境が整い、実行の複雑さが軽減されます。
オープンソース化の意義
2018年9月より、『PyQUBO』はGitHubでオープンソースとして公開されました。この取り組みは、アニーリングマシンの実用化を進めるだけでなく、より多くの研究者やエンジニアがこの分野に参入できる土壌を作ることを目指しています。Pythonという多くの研究者に親しまれている言語で構築されているため、使用しやすく、さまざまな状況に応じた応用が期待されています。
オープンソースで公開することで、エンジニアコミュニティの形成が促進され、アニーリングマシンの利用がさらに広まるでしょう。この環境を通じて、様々な実用例や研究が生み出され、デジタルマーケティングやその他のビジネスシーンでの組合せ最適化が高度化することが期待されます。
今後の発展に向けて
リクルートコミュニケーションズは、量子アニーリングを活用してビジネス課題を解決する研究を今後も推進していく方針です。個々の顧客やサービスのニーズに応じて、最適なサービスや広告を提供できるように努め、様々な業界でのサービス品質の向上を目指します。
このように、『PyQUBO』の開発とオープンソース化は、量子アニーリングの実用化に大きく寄与することが期待されています。
会社情報
- 会社名
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株式会社リクルートコミュニケーションズ
- 住所
- 東京都中央区勝どき1-13-1イヌイビル・カチドキ
- 電話番号
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