広島から未来の交通体験を実現する新プロジェクト始動
広島県広島市を拠点に、広島電鉄株式会社とバレットグループ株式会社のコラボレーションによる新たな計画が芽吹きました。この「街と会話できる未来の交通体験」と題されたプロジェクトは、広島の交通システムに新しい風を吹き込み、地域の魅力を引き出すことを目指しています。AIの力を借りて、街と人のコミュニケーションをより密接にする取り組みです。
AI実証プロジェクトとは?
このプロジェクトは、広島県が主催する「ひろしまAIサンドボックス事業」に採択されたもので、広島電鉄とバレットグループが共同で申請を行い、AI技術を活用した交通サービスの実現を目指します。その中で、AIを通じて利用者と街が相互にコミュニケーションを図る新しい試みが行われる予定です。
受け身から能動へ、サービスを進化させる
現在、広島電鉄ではコールセンターの導入を試み、サービスの質を向上させる取り組みを行っています。しかし、問い合わせ内容の多様化やオペレーターの人手不足が課題となり、顧客の声に応じた柔軟な対応が難しくなっています。このプロジェクトは、そうした状況を踏まえて、従来のコールセンターの枠を超えた「コンタクトセンター」の構想に基づいています。ユーザーとの対話をAIが学習し、その楽しく、自然なコミュニケーションの中で利用者のフィードバックを自動的にサービス改善に結びつける仕組みを構築します。
「街が話しかけてくる」新しい体験
本プロジェクトの重要なポイントは、LINEやウェブアプリを使用して、利用者との接点を再構築することです。AIの対話機能と位置情報を駆使して、まるで街が話しかけてくれるかのような体験を提供します。
通勤者向けの施策
通勤者に対しては、地域とのつながりを実感できるようなインセンティブ施策を導入することを検討しています。移動中に地域の情報に触れたり、地元のイベントに参加できるチャンスを提供することで、通勤が単なる移動手段から魅力ある体験へと進化させることが目標です。
観光客向けの新たな提案
観光客に対しては、AIが彼らの興味や嗜好を把握し、その情報を基に旅程を提案する「街がガイドする旅」を目指します。地元の特色や名所を最大限に楽しむためのアドバイスをリアルタイムで提供することで、より魅力的な観光体験を実現します。
高齢者支援の取り組み
高齢者及びその家族に対しては、利用状況に基づく見守り機能の実装を計画しています。移動状況を管理し、その情報を家族に通知することで、安心して移動できる環境を整える支援を行います。
江田島を発信拠点に
このプロジェクトは、バレットグループの地方開発拠点「広島ラボ COCODEMO江田島」を中心に進められます。地域から全国へと展開することを視野に置き、広島ならではの新たな移動体験を多くの人々に提供していく計画です。AIが街の声を学び、利用者に話しかけるような体験を可能にすることで、観光や日常の移動をより楽しい時間に変革することを目指しています。
今後の展開
2025年2月までの実証期間では、概念実証から改善を経て本実装に至るサイクルを実践し、その成果を広島県内外に向けて発信する予定です。また、自治体や交通事業者、観光関連団体などとの連携を強化し、「AI活用」「地方創生」「持続可能な交通体験」といったテーマに基づいたオープンなモデルを構築する考えです。
この取り組みによって、広島が地域の本質を活かした新しいビジネスモデルを生み出し、次世代の交通体験を提供することが期待されています。