中小企業のESG経営:現状と課題
フォーバルGDXリサーチ研究所が実施した全国の中小企業経営者1,077人を対象とした調査によると、ESG経営の認知度と取り組み状況に課題が見られました。
認知度の低さと情報収集方法
調査結果によると、ESG経営を「知っている」と回答した中小企業経営者は全体の約3割でした。さらに、他社に説明できるほど理解している経営者は1割未満という結果に。ESG経営の重要性が高まっているにも関わらず、多くの経営者がその概念を理解していない現状が明らかになりました。
情報収集方法については、「ニュースやメディアの記事」が最も多く、次いで「特に情報は収集していない」という回答が続きました。これは、ESG経営の情報収集が受動的で、積極的な情報収集を行っていない企業が多いことを示唆しています。
取り組み状況と注力分野
ESG経営に「取り組んでいる」と回答した企業は3割強でしたが、「取り組んでいないが、取り組みたいと思っている・取り組む予定である」企業と合わせると7割を超えました。これは、ESG経営への関心や意欲が潜在的に高いことを示しています。
取り組んでいる企業の半数以上が「環境(Environment)」分野に注力しており、「社会(Social)」分野も7割以上の企業が取り組んでいることが分かりました。一方、「ガバナンス(Governance)」分野は取り組んでいる企業が約半数にとどまりました。これは、内部統制や情報開示に関する認識がまだ十分ではない可能性を示唆しています。
取り組み開始時期は、半数以上が2022年以降と比較的最近で、社会情勢や企業不祥事問題の影響が考えられます。
今後の展望と課題
ESG経営に取り組んでいない企業の多くは、「他に優先すべき課題がある」「何から取り組めばよいか分からない」ことを理由に挙げています。
今後取り組みたい分野として、「環境」分野が最も多く挙げられましたが、「ガバナンス」分野への関心も高まっており、今後、ガバナンス強化への取り組みが進むことが期待されます。
フォーバルGDXリサーチ研究所の所長コメント
フォーバルGDXリサーチ研究所所長である平良学氏は、中小企業におけるESG経営は始まったばかりであり、これから取り組むことで自社の強みに繋がる可能性があると指摘。取り組みやすい分野や施策から一歩を踏み出す企業が増えることを期待するとしています。
まとめ
本調査では、中小企業におけるESG経営の認知度と取り組み状況、そして今後の課題が明らかになりました。ESG経営は、企業の長期的な成長と持続可能性に不可欠な要素であり、中小企業においてもその重要性を認識し、積極的に取り組むことが求められます。政府や関係機関による支援体制の強化、そして企業自身による積極的な情報収集と取り組みが、今後のESG経営普及のカギとなるでしょう。