ispaceと伊Telespazio社、月探査に向けた協力を強化
株式会社ispaceは、伊Telespazio社と月探査に関する意向表明書(LOI)を締結しました。この協力関係は、将来的に月周回軌道への輸送サービスの実現や、通信・ナビゲーション技術の商業化に向けた重要なステップとされています。
合意内容の背景
ispaceは、東京都中央区に本社を置く宇宙スタートアップ企業で、月面資源開発に注力しています。Telespazio社は、Leonardo社とThales社との合弁企業で、月探査のための衛星通信とナビゲーションサービスの提供を担っています。今回のLOI締結により、両社は技術的・商業的な協力を進め、月探査ミッションのためのサービスを創出することを目指します。
実施するプロジェクト
ispaceは、欧州法人であるispace EUROPEを通じて、この協業に取り組みます。Telespazio社が主導するMoonlight計画の一環として、月探査を支える通信・ナビゲーションサービスの確立を目指し、ispaceの軌道間輸送機(OTV)を活用する可能性が探られます。具体的には、ispaceが開発するOTVを用いて、衛星コンステレーションを月周回軌道まで輸送するサービスが検討されています。
技術の実証と未来展望
ispaceは2023年と2025年に月ミッションを実施し、ランダーの技術を実証しています。この経験を基に、将来的には月面通信や航法ナビゲーションなどの商業化を推進し、月面探査に向けた具体的な事業モデルを確立することが期待されています。また、LOIには通信とナビゲーションの接続性、データ活用の可能性も含まれており、両社のシナジーを生かした新たなサービスの策定が進められます。
各社のコメント
ispaceの代表取締役でCEOの袴田武史氏は、Telespazio社との締結を「月面探査ミッションに向けた重要なインフラづくりの一歩」と位置づけ、欧州の宇宙産業との連携の意義を強調しました。
一方、Telespazio CEOのGabriele Pieralli氏は、LOIの締結が国際協力の新たな商業的可能性を示すものとし、深宇宙探査のためのエコシステム構築への意欲を示しました。
Telespazio社について
Telespazio社は、宇宙システムの設計や開発、打ち上げまで、幅広いサービスを提供する企業です。60年以上の歴史があり、主要な宇宙プログラムにも参画しています。これにより、さまざまな科学ミッションや地球観測、衛星通信サービスにおいて重要な役割を果たしています。
今後の展開
ispaceは、今後も月面資源開発や探査ミッションへの挑戦を続け、Telespazio社との協力を強化することで、宇宙産業の未来を切り開いていく考えです。ミッション3やミッション4の予定もあり、これらの中で得られる技術やデータが、NASAのアルテミス計画への貢献につながることも期待されています。今回のLOI締結は、その第一歩と言えるでしょう。