田村琢郎の新作個展「みちとみちのみち」
現在、京橋に位置する「Gallery & Bakery Tokyo 8分」で、アーティスト田村琢郎の新たな個展が開催されています。この個展は2025年12月27日から2026年1月27日まで行われ、今回で第14回目となります。田村が目指すのは、日常生活の中で目にする交通や都市のインフラを基にした作品の創造です。
アートにおける日常の視点
田村琢郎は1989年に大阪で生まれたアーティストで、彼の作品は日常の中に潜む小さな違和感や新しい発見から生まれています。特にアスファルト、道路標識、カーブミラーといった都市インフラを取り上げ、これらをその本来の文脈から切り離すことでまったく新たな視点を提供します。彼は鋭い観察力と確かな技術を駆使し、日常に存在するものを詩的且つ批評的に再構築しています。
田村の作品は、普段は無関心のまま通り過ぎてしまう風景に対して焦点を当て、そこに潜む曖昧さや不確かさを引き出します。この過程で彼は静かなユーモアやロマンを作品に注入し、観る者に新たな感覚や記憶を呼び起こします。彼の作品を通じて、私たちは自身の日常生活を見つめ直す機会を得ることができます。
展示内容について
本展では、主に「道そのものの記録 rediymade」と「道の概念 TORNCEPT」の二つのシリーズから構成されています。それぞれのシリーズは、田村の独自のアプローチと視点を反映しており、訪れることで新しい発見があるでしょう。
rediymade - The Way
このシリーズは、実際の道路を素材そのままで再現した平面作品です。普通の生活で目にする風景を意識の表層に引き上げ、その美しさと面白さを再発見することが目的です。田村は、道路という既製品を手作業によって再現することで、アートと日常生活のわずかな境界線を曖昧にします。
TORNCEPT - One Way
この作品は、未来の不確実性をテーマにした立体作品で、一方通行の標識が裂けて捻れることで不確定な目標を暗示します。シンプルだったはずの道が、時間と共に複雑さを増し、曖昧になっていく様子を形にしています。このような作品を通じて、現代社会における不安定さを肯定的に表現しようと試みています。
今回の個展の意義
田村の新作個展「みちとみちのみち」は、我々に日常の中に潜む「道」の再認識を促します。彼の作品群は、ただの通過地点ではなく、私たちが普段見過ごしてしまう「道」そのものを新たな観点から捉え直す機会を与えてくれます。この特別な展覧会に訪れることで、私たちは身近な存在であるはずの道路や標識について再考するきっかけを得られるかもしれません。
会場情報
「Gallery & Bakery Tokyo 8分」は東京都中央区京橋に位置し、アートギャラリーとベーカリー&カフェが併設されているユニークな空間です。訪問者はアート作品を楽しむだけでなく、美味しい食事を通じて、他の観客との対話を楽しむこともできます。また、作品が展示されている間は観覧料が無料で、開館時間は午前8時から午後7時までです。
アーティストについて
田村琢郎は、京都芸術大学を卒業後、アートプラットフォーム「SANDWICH」でアシスタントを務め、2022年に東京へ拠点を移してから本格的な作家活動をスタートしました。代表的な個展やグループ展に参加しながら、彼の作品は広く知られるようになっています。
この個展を通じて、観る者が田村の視点を体感し、一緒に日常の中での新たな感覚を探求できることを期待します。