越谷市がICTを活用した水田ポテンシャル調査を実施
2024年7月23日、埼玉県越谷市は株式会社ニイザカファーム、有限会社日伊、NTT東日本埼玉南支店との間で「ICT装置を活用した『水田ポテンシャル調査』に関する連携協定」を締結しました。この協定は、水田の持つ多面的な機能を調査し、持続可能な農業と環境保全を推進するためのものです。
水田の役割と田んぼダムの重要性
近年、気候変動によって水災害が頻繁に発生し、その被害も深刻化しています。このような中、越谷市は水田が持つ雨水貯留機能を利用した「田んぼダム」の実証実験に取り組むことを決定しました。田んぼダムは小型の調整板を排水口に取り付け、排水量を抑えることで雨水を貯留し、水害リスクを低減させる方法です。
この手法は、安価で大規模な施設を構築する必要がなく、迅速に効果を発揮することができるという特長があります。さらに、環境に配慮した取り組みとしても注目が集まっています。
協定の詳細と目的
本協定の目的は、越谷市における水田のポテンシャルを調査し、その結果を基に持続可能な農業環境を創出することです。具体的には、水田の雨水貯留機能を活かした水害リスク低減の調査や、Jクレジット創出に向けた模擬トライアルを行います。
また、Jクレジット制度は温室効果ガスの削減や吸収量を国が認証する制度であり、成功した企業や団体がその成果を取引に利用できるため、農業者にとっても収益向上につながる取り組みです。
協定の実施概要
協定は2024年7月23日から2025年11月30日までの期間で実施されます。主な調査地点は越谷市新方地区で、約28,000㎡の水田を対象にします。このプロジェクトでは、NTT東日本が提供するICT装置を活用し、水位データの収集・解析を行います。
各団体の役割
協定に参加する各団体はそれぞれの役割を担い、越谷市は田んぼダムの実証フィールドの提供や運用のモニタリングを担当します。ニイザカファームと日伊もフィールドの提供や検証に貢献し、NTT東日本はICT装置の設計・設置を行います。
今後の展望
越谷市は、これを機に水田のポテンシャルを最大限に引き出し、持続可能な農業の普及を進める方針です。この取り組みは、地域の防災力の強化だけでなく、環境価値の創出にも寄与することが期待されています。
地方自治体と民間企業が連携して新たな価値を生み出すこの試みは、他地域への展開やさらなる発展にも注視されることでしょう。