奈良市とD×Pの連携協定
奈良市は、社会的に孤立している子どもや若者の支援を強化するため、認定NPO法人D×P(ディーピー)と連携協定を締結しました。この取り組みは、経済的困窮などのさまざまな理由から孤独を感じる若者が適切な支援を受けられるようにすることを目的としています。
ユキサキチャットの役割
D×Pが運営するLINEを利用した相談サービス「ユキサキチャット」は、孤立を感じている13歳から25歳の若者に向けて設けられています。このサービスでは、相談員が直接支援を行ったり、必要な支援先を紹介したりすることで、孤立している子どもたちが希望を見出せるようサポートします。
具体的には、保護者に頼れない10代の相談者に食料支援や現金給付を行い、社会福祉士や精神保健福祉士、臨床心理士といった専門家からの支援を受けられます。これにより、就労や福祉、医療などに関する相談も親身に受け付けています。
増える孤立の実態
近年、若者を取り巻く社会状況は厳しく、不登校の中高生は28.5万人、高校中退者は4.6万人に達しています。また、「助けてくれる人がいない」と感じている子どもや若者は全体の11.3%にのぼり、相談できる人がいない状況にあるのは21.8%にもなります。特に15歳から24歳の無業者は26万人という統計もあり、これらの数字が示す通り、苦境にある若者が多い現状が明らかになっています。
D×Pのミッションとビジョン
認定NPO法人D×Pは、社会的孤立に苦しむユース世代に対してセーフティネットを提供し、将来への希望を持てる社会を目指して活動しています。困難な家庭環境や経済的状況における若者たちに、身近な人とのつながりを築く場を提供。その過程で新たな機会を生み出すため、地域のNPOや機関と連携し、多面的な支援を展開しています。
ユキサキチャットの利用実績
ユキサキチャットは2018年から運営されており、これまでに15,367名の登録者がいる他、247,200食の食料支援を行い、現金給付では約8,878万円を届けてきました。相談者から寄せられた実際の声の中には、経済的な不安や家庭環境の問題が複雑に絡んでいるケースも多く、D×Pの支援が重要な役割を果たしています。
これからの支援体制
奈良市は、相談窓口やSNSを通じてユキサキチャットの存在を広め、実際の相談件数や相談者の傾向をデータとして蓄積し、2025年3月までに現状を把握することを目指します。これにより、子どもや若者が孤立しないように、支援の幅を広げ、彼らの未来に向けた一歩を共に考えていくことを期待しています。
今後も奈良市とD×Pの連携は、孤立を感じる若者にとって重要な支えとなり、希望を持てる未来を拓く一助となるでしょう。