将来宇宙輸送の新たな挑戦
将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)は、宇宙往還輸送システムの実現を目指すスタートアップ企業です。この企業は、東京都中央区に本社を置き、2022年に設立されました。ISRは「毎日、人や貨物が届けられる世界。そんな当たり前を、宇宙でも。」というビジョンのもと、宇宙輸送の未来を切り開くために取り組んでいます。
このたび、ISCは英国の3Dプリンター製造会社WAAM3Dと、日本の愛知産業株式会社、さらにはクランフィールド大学との業務提携を発表しました。この連携により、3Dプリンターを用いた推進薬タンクの製造がスタートしました。これにより、製造プロセスの効率化が期待されています。
先進技術の共有
この4社による業務提携は、各社の専門知識を持ち寄り、部品製造においてもアジャイル型の開発を進める予定です。アジャイル開発の手法を取り入れることで、迅速な試作と改良が可能になります。
愛知産業は金属AMに早くから取り組んできた企業であり、これまでの実績を活かして新たな技術を生み出すことが期待されています。また、クランフィールド大学は、金属製造における研究機関としての地位を確立しており、15年以上の研究実績を持ちます。これにより、高度な技術開発が可能になると考えられます。
アジャイル開発の重要性
ISCは、技術開発の効率化を図るため、アジャイル開発を積極的に導入しています。3Dプリンターの導入により、製造期間の短縮が見込まれ、開発スピードが向上します。これに加えて、3Dプリンターの特性を活かすことで、一体成形が可能になり、組み立て作業が簡略化されます。結果として、機体軽量化や機能向上が実現されるでしょう。
加えて、ISCは独自の研究開発プラットフォーム「P4SD」を通じて、宇宙輸送機の開発を加速させることを目指しています。今年12月には、日本初となるトリプロペラント方式を採用した燃焼試験を成功させ、プラットフォームの有効性も確認しました。
世界的視点での連携
今回の業務提携によって、WAAM3D社の3Dプリンターを使用した推進薬タンクの製造が行われます。WAAM3Dは、アーク溶接技術を基にした先進的な技術を提供し、様々な産業での利用が期待されています。また、クランフィールド大学は金属AM研究に特化した研究機関であり、先端技術の開発にも重点を置いています。
ISCはこれからも、国内外の企業や研究機関と協力し、宇宙産業の発展に貢献していく所存です。CEOの畑田康二郎氏は「日本の強みを生かしながら、世界で戦える技術を確立したい」と意気込みを語っています。
このプロジェクトは、宇宙が新たなフロンティアとして注目される中で、先進技術の導入や実績のあるパートナーとの協力を通じて、日本の宇宙産業を成長させる大きな一歩となるでしょう。将来の宇宙輸送システムの実現に向けたこの取り組みに、今後の動向に期待が寄せられています。