我が国の農林水産分野GHG排出削減技術の国際展開

農林水産省が発表した『農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ』（通称：MIDORI∞INFINITY）は、日本が開発した温室効果ガス（GHG）排出削減技術を世界市場へ提供するための重要な施策です。これにより、農業・食品分野での脱炭素投資を誘引し、気候変動に取り組む企業の市場を拡大することを目指しています。

背景

地球温暖化が進行する中、国際的な食料安全保障や気候変動への対応は、ますます重要な課題となっています。今年の11月には国連気候変動枠組条約第30回締約国会議（COP30）が開催され、日本もGHG排出削減技術を活用して国際的な貢献をすることが期待されています。このパッケージはその一環であり、我が国が持つ技術を活かして、環境問題に対するグローバルな取り組みを推進していきます。

パッケージの概要

MIDORI∞INFINITYでは、水田や畜産からのメタン排出削減や、農地土壌の炭素貯留の拡大、また森林減少や劣化からのCO2排出削減技術など、海外展開が可能な技術が中心に選ばれています。これらの技術をもとに、技術の普及を促進する施策も盛り込まれています。その一例が二国間クレジット制度（JCM）であり、国内外の民間事業者がこれらの技術を活用するために必要な資金の調達を支援します。

策定までの経緯

農林水産省は、これまでに「みどりの食料システム戦略」や「農林水産省地球温暖化対策計画」に基づき、気候変動対策を進めてきましたが、近年、海外市場でのGHG排出削減技術への関心が高まっています。2月に行われた意見交換会では、民間企業や研究機関との対話を通じて、技術の展開に際する具体的な課題も明らかになりました。これらの知見を基に、MIDORI∞INFINITYの内容は改良され、発表に至りました。

政策効果と今後の進め方

MIDORI∞INFINITYは、COP30や他の国際会議で発表されることが予定されており、これを通じて我が国のGHG排出削減技術を広く理解してもらう機会を設けます。また、脱炭素プロジェクトの進行を支援する「みどり脱炭素海外展開コンソーシアム」も設立され、参加企業との協力を深めることで、具体的なプロジェクトへつなげていく準備も進めています。これによって、我が国の農業・食品企業が国際市場での競争力を高めるだけでなく、地域の経済活性化にも寄与することが期待されます。