道東の酪農が目指すサステナブルな未来とは

道東で進化するサステナブルな酪農

道東カーボンファーミング研究会は、2023年8月に設立され、北海道別海町を中心に、持続可能な農業の普及を目指して活動しています。2025年度には、酪農の異なる規模に応じた3つの実証プロジェクトが進行中です。この取り組みでは、環境対策や農業の効率向上を図り、地域の酪農モデルを革新していくことが狙いです。

大規模農場の挑戦

まずは中山牧場です。この牧場は、乳牛を1300頭飼育しており、バイオガス発電を導入しています。ここでの実証は不耕起圃場における堆肥と消化液を使用し、炭素貯留量や微生物活性の変化を観察しています。中山牧場の会長、中山勝志さんは「酪農の新しい見方ができる」と語り、循環型農業への移行の重要性を強調しています。

中規模農場の成果

次に、リジッドファームズです。この中規模農場では、乳牛を100〜300頭間で飼育しており、有機JASの取得経験もあります。実証では、化学肥料使用区とスラリー散布区に分けて、それぞれの効果を比較調査しています。リジッドファームズの代表、森田哲司さんは、サステナブルな農業と高品質な飼料生産の両立を目指しています。

小規模農場の活動

最後に養老牛山本牧場の取り組みです。この牧場では約30頭を完全放牧で飼育しており、カバークロップを利用して土壌改善に努めています。播種の種類を増やし、牧草地の改善を目指すことで、環境負荷を減少させる提案も行っています。山本牧場の代表、山本照二さんは、「どんなに小さい牧場でも、環境に優しい方向性を志向している」と訴えます。

土壌健康度調査の実施

10月には土壌健康度の調査が行われる予定で、春から秋にかけてのデータを用いて、各農法の効果を評価します。この調査は、参加農家とともに行われ、来年2月頃に結果が発表される見込みです。

若い世代とのコラボレーション

新たに高校生や大学生が参加するプログラムも開始され、土壌の環境保全や持続可能な農業について学ぶ場が提供されています。私立新渡戸文化高等学校からのスタディツアーも受け入れられ、実際のフィールドでの学びを通じて次世代の農業リーダーを育成する狙いです。

カーボンファーミングの情報発信

道東カーボンファーミング研究会は「note」を開設し、カーボンファーミングに取り組む酪農家の活動を広く発信しています。新たな取り組みや情報を共有することで、他の酪農家や乳業関係者へサステナブルな農業の重要性を伝える役割を果たすことを目指しています。

道東で進化するサステナブルな酪農モデルは、次世代の農業への大きな一歩となることでしょう。地域全体の協力を得て、消費者も支援できる仕組みづくりを進めています。