2020年度住宅供給動向
2021-09-02 15:00:05

2020年度低層住宅供給動向調査の結果と今後の展望について

2020年度における低層住宅(3階建て以下)の供給動向について、株式会社住宅産業研究所が実施した調査の結果を報告します。この調査は毎年行われており、今回で19回目となり、全国の47都道府県における住宅供給の実態を明らかにするものです。

まず、国土交通省による新設住宅着工戸数は812千戸となり、前年に比べて8.1%の減少を記録しました。この数字は2年連続の減少を示しており、特に新型コロナウィルスの影響が大きかったことが考えられます。多くの企業が住宅着工を一時的に見合わせたため、予想したよりも急激な落ち込みは避けられたものの、着工戸数の減少の影響は無視できません。

調査によると、1棟以上の確認申請を提出した企業数は30,258社で、前年よりも1,764社(約5.5%)減少しました。このような減少は、特に持家(注文住宅)を主力としている企業において顕著でした。コロナ禍でのステイホームの影響で、初めて住宅を取得する層の需要は高まっているものの、将来的な不安が影響し、中古住宅の需要は停滞しています。

さらに、低層住宅の建設における問題として、ウッドショックの影響が挙げられます。木材の供給不足が中小工務店に影響を及ぼし、また、若い世代の住宅取得が減少していることも影響しています。これに伴い、建替えサイクルが長期化しており、地方の工務店では後継者問題や廃業が増加しているという現状があります。

2020年度には24,901社が持家戸建住宅を供給しており、前年よりも1,651社(6.2%)減少しました。特に持家戸建住宅の供給数が低層住宅の全体よりも減少幅が大きいことも注目すべきポイントです。これは、単にコロナ禍の影響だけではなく、人口減少や住宅取得層の減少が影響を及ぼしていると考えられます。

調査は2020年4月1日から2021年3月31日までの期間に行われ、対象は東京都や大阪市、熊本市などの低層住宅の全数が含まれています。調査の実施には住宅産業研究所の学識経験者が関与しており、データの信頼性も確保されています。

今後の住宅着工については、ウッドショックの影響は残るものの、新型コロナによる戸建住宅の需要は依然として高い状況です。しかし、中小工務店の住宅供給数が減少する可能性が指摘されており、2020年度の着工数よりも下回る可能性が懸念されています。今後の動向について注視していく必要があります。

会社情報

会社名
株式会社住宅産業研究所
住所
東京都新宿区新宿2-3-11VORT新宿御苑6階
電話番号
03-3358-1407

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