生活者の内面を探る新しいアプローチ
2025年2月、株式会社博報堂の生活者発想技術研究所が実施した調査によって、全国の15歳から69歳の男女2400人の内なる欲求や葛藤に関する実態が浮き彫りになりました。この調査は、日々の生活の中で感じる心の葛藤やアスピレーションに焦点を当て、幸福感との関連性を探るものです。
調査背景と目的
現代社会は、様々な課題が絡み合い、私たち生活者は日々理想と現実の狭間で苦しむ場面が増えています。博報堂生活者発想技術研究所は、これら見えない欲求を浮き彫りにするため、内なる欲求や想いについての新たな調査を行いました。本記事では、その調査結果について詳しく解説します。
おおまかな調査結果
1. アスピレーションの実態
調査によると、約69.3%の人々がアスピレーションを持っており、特に若年層の割合が高くなっています。アスピレーションとは「人生において大切にしたいこと」や「実現したいこと」であり、具体的には「家族との時間を大事にしたい」や「自己実現に向けて努力したい」といった声が挙がりました。
実践していると答えた人は62.7%ですが、実際に達成できている人は41.6%にとどまっています。これは、特にミドル世代の男性において、アスピレーションの実践や達成が難しいことを示唆しています。
2. 生活者の葛藤の実態
調査対象者の64%が、日常生活で何らかの葛藤を感じていることが分かりました。興味深いのは、「できるだけ感じたくはない」という気持ちを持ちながらも、「葛藤は必ずしも悪いものではない」という相反する感情を持つ人も多いということです。特に、女性30代が抱える葛藤は多岐にわたることがわかりました。
3. アスピレーションと幸福感の関係
幸福感を感じていると答えた人は全体の69.8%であり、アスピレーションを持つことで幸福感が高まる傾向が見られました。特に、アスピレーションが明確な人ほど幸福感を強く感じる傾向があります。興味深いことに、葛藤が「適度に」存在することで幸福感が増す傾向も見られました。
まとめ
本調査の結果、アスピレーションや葛藤は、生活者が幸福を感じる上で重要な要素であると同時に、「葛藤」があることが必ずしも悪いものではないことが示されました。この調査は、現代の生活者がどのように内なる欲求に向き合っているかを理解する手助けとなるでしょう。
博報堂生活者発想技術研究所は、今後も生活者の内面に関する研究を進め、私たちの生活や感情の理解を深めていくことを目指しています。