福祉現場における新しい学びの場
2025年10月29日、社会福祉法人奉優会が東京都世田谷区で雅な現任管理職研修を実施しました。今回の研修は、「組織とポジティブ心理学」および「現場を支えるDX」という二つのテーマが掲げられ、177名の管理職が参加しました。この取り組みは、福祉界における職員の幸福感の向上とデジタルトランスフォーメーション(DX)による業務革新を目指すものです。
第1部:ポジティブ心理学の導入
第1部では、千葉大学大学院の小林正弥教授が講師として登壇し、ポジティブ心理学の概念とコミュニタリアニズムについて説明しました。小林教授は、アリストテレスが提唱した「善き生(エウダイモニア)」の思想を引き合いに出し、職員一人ひとりの幸福が組織全体の生産性やクリエイティビティ向上に寄与することを強調しました。特に、「ポジティブな働き方」を通じて、地域社会や利用者により良い福祉サービスを提供することで、全体的な幸福感を高めることができるとの見解が示されました。
参加者からは、「自部署でもこの考え方を取り入れたい」という声や、「リーダーとしての姿勢を見直す良い機会となった」という感想が寄せられました。また、PERMA理論(Positive Emotion、Engagement、Relationship、Meaning、Achievement)を利用した自己理解とチームエンゲイジメントを高めるワークショップも行われ、多くの参加者が積極的に取り組みました。
第2部:現場を支えるDX
第2部では、奉優会のDX推進室が、「現場で今知っておくべきデジタルトピック」と題して、最新のデジタル技術についての情報共有が行われました。
具体的には、最近のランサムウェアの動向やその対策、業務アプリ作成ツールであるkintoneやプロジェクト管理ツールのBacklogによる業務の見える化について解説がありました。また、災害時に職員の安否を確認するためのツール「トヨクモ安否確認ツール」の運用開始についても紹介されました。
DX推進室からは、「ITリテラシーは法人全体の安全性と効率性に直結する」との強いメッセージが発信され、業務改善のためには、バックアップの徹底や不審メールの識別、ツールの標準化が不可欠であることが具体的な事例を交えて説明されました。さらに、災害時対応を見据えた安否確認ツール訓練も今後全職員対象に実施予定であり、福祉とデジタルの調和を目指す方向性が明らかになりました。
奉優会の今後の取り組み
奉優会では、管理職研修を法人の中核として位置づけ、理念理解、マネジメント力の向上、デジタル活用、心理的安全性の醸成に向けた多面的なアプローチで実践力の育成に努めています。今後も「理念に基づくポジティブな組織づくり」と「福祉×DXによる支援」を両輪として、安心して働ける環境を整え、地域社会に貢献できる福祉法人を目指していきます。
このような取り組みは、今後の福祉業界における新たな潮流を生み出すことが期待されています。社会全体での福祉サービスの質の向上が求められる現代において、奉優会の研修はその第一歩として重要な役割を果たしています。