新OPPシートの革新と製造に向けた動き
株式会社エフピコは、2024年4月30日に超高剛性2軸延伸ポリプロピレンシート(以下「新OPPシート」)の製造装置、LISIMをドイツのBrückner Maschinenbau GmbHに正式に発注したと発表しました。この発注は、これまで10年間にわたってBrückner社の試験機で行った大規模な研究とテストを経てのもので、エフピコの素材技術とBrückner社の延伸技術を結びつけた結果、画期的な新OPPシートの開発が実現したのです。
新OPPシートの特長
新OPPシートは従来のポリプロピレンフィルムの約5倍から6倍の厚さである150ミクロンから300ミクロンの範囲で製造されます。これにより、食品容器用シートとしての優れた透明性や、耐熱性、耐寒性、耐油性を有すると共に、極低温から高温まで幅広い温度に対応可能な優れた耐衝撃性を備えています。この特性により、新しい食品容器の開発が進むことが期待されています。
環境への配慮
新OPPシートのもう一つの大きな利点は、環境への配慮です。PPが主素材であることで、モノマテリアル化が実現し、リサイクル性が向上。また、従来品よりも高い透明性を得ることで、印刷工程を省略し、VOC規制への対応も可能になります。これは、環境適性に優れた製品であることを示しています。
幅広い応用の可能性
この新OPPシートは、食品容器だけでなく、自動車、住設、建設、太陽電池、物流資材など、さまざまな産業において高い評価を得ています。たとえば、インモールドラベル成形(IML成形)において、従来の複合素材からこの新OPPシートへ置換することで、成形品に使用される樹脂量を約20%削減し、軽量化を図ることが可能になるとされています。これは、プラスチック使用量の削減にも寄与します。
今後の展望
エフピコは2027年後半にLISIMの稼働開始を目指し茨城県坂東市に新工場の建設を検討しているとのことです。新OPPシートの製造は、関連産業との協力を通じてより広範な市場展開を計画しており、実際の事業計画や投資内容については今後の発表に期待が寄せられています。
まとめ
新OPPシートは、その革新的な特性により、食品業界にとどまらず、さまざまな産業での用途展開が期待されている製品です。エフピコの取り組みは、持続可能性を考慮した製品開発の手本となるものと言えるでしょう。今後の進展に注目が集まります。