SalesforceがAI活用の収益ライフサイクル管理を日本市場に投入

株式会社セールスフォース・ジャパンは、AIエージェントを活用した『Revenue Cloud』を日本市場で提供開始することを発表しました。この新しいサービスは、見積から契約、受注、請求、そして現金化に至るまでの企業の収益ライフサイクルを一元管理できる強力なツールです。企業はこのプラットフォームを通じて、あらゆる収益モデルを迅速かつ効率的に実現し、同時にコストの削減も可能です。

現代のビジネス環境における課題

昨今、企業は複雑なビジネス環境に直面しています。市場の変化、顧客ニーズの多様化、新技術の台頭などが収益モデルに対する課題を引き起こしています。PwCの調査によると、日本のCEOの47%が、現在のビジネススタイルでは10年以内に企業が存続できないと考えていることが明らかになっています。このことから、多くの企業が収益のモデルにおいて何らかの問題を抱えていることが伺えます。また、最近ではサブスクリプションや成果報酬型モデル、D2C（Direct to Consumer）など、新しいビジネスモデルが登場しています。

システムの断片化

特に、企業が抱えるシステム上の課題は深刻です。多くの企業は、異なるERP、CRM、ポイントソリューションを同時に使用しており、収益ライフサイクル全体を統一したプラットフォームは存在しません。営業部門は顧客エンゲージメント用のCRMを利用し、バックオフィスでは契約とは別のERPを操作するという状況が多く見受けられます。このようなシステムの断片化は、商業上のリスクを生じさせ、取引の効率化を妨げます。企業は新しい収益化戦略を立てるためには、統合されたプラットフォームの導入が不可欠です。

Revenue Cloudによる全プロセスの統合

Salesforceが提供するRevenue Cloudは、製品から現金化に至る全ライフサイクルの顧客接点を統合します。具体的には、Configure Price Quote（CPQ）、契約、注文、請求が同じプラットフォーム上で共通のデータモデルに基づいてサポートされます。これにより、企業は複数の収益モデルに対応しつつ、柔軟な商品機能を導入できるようになります。また、サードパーティとの統合や、取引場所におけるプロセスの自動化も実現可能です。自動化された商品カタログ管理や価格管理、取引管理機能を活用することで、業務の効率化が図れるのです。

自動化とAIの統合

Revenue Cloudは、SalesforceのEinstein AIを統合しており、企業はプロセスの自動化、見積りの精度向上、収益ライフサイクル全体の意思決定をサポートします。例えば、Contracts AIを用いた場合、適切な契約条件を自動で提案され、契約サイクルもより短縮されます。これにより、企業はビジネスプロセスの効率化と同時に顧客体験の向上を実現できます。

オムニチャネル販売の推進

Revenue Cloudは、統合された商品カタログを提供し、様々な販売チャネル（直接販売からセルフサービスまで）の活用を可能にします。モジュール式機能により、企業は各チャネルやSalesforceアプリケーションでの購入体験をシームレスに構築できます。

柔軟な収益化モデル

特に、サブスクリプションモデルが普及する中、Revenue Cloudは変更や更新のプロセスを自動化し、営業チームと顧客双方にとってスムーズなサポートを提供します。また、動的収益オーケストレーターを使用することで、商品と注文の履行プロセスを大規模に管理し、顧客が迅速に商品を受け取れるようにします。

顧客の視点

パナソニックEWネットワークスの青木節夫氏は、同社がRevenue Cloudを活用して営業活動と見積管理を単一のプラットフォーム上で実現し、生産性の向上を目指していると述べています。将来的にはAIエージェントの活用も視野に入れ、さらに効率的な業務運営を目指す意向を示しています。

価格と提供時期

Revenue Cloudは2025年7月1日より日本市場向けに提供開始され、価格は24,000円（税別）/ユーザー/月となっています。詳しい情報はSalesforceの公式サイトで確認できます。

Salesforceは、AIを活用したビジネスの再構築を支援し、顧客に対して信頼性の高いサービスを提供することに力を入れています。今後も進化を続け、企業の収益化戦略や経営の立て直しを支える存在となるでしょう。