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LGIMが新たに進める気候対応戦略

2021年6月15日、世界有数の資産運用会社であるリーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント（LGIM）は、「クライメート・インパクト・プレッジ」の年次報告書を公開しました。この中で、気候変動に対する企業の取り組み状況を厳しく評価し、新たに4社をダイベストメントの対象とすることを決定したと発表しました。これにより、LGIMの投資方針がさらに進化し、温室効果ガス排出量の削減に向けた圧力が強まることとなります。

LGIMは2016年に気候影響誓約を開始し、その後の取り組みとして、気候変動において重要視すべき15のセクターに分類される世界の企業1,000社を対象にしたエンゲージメントを実施しています。これらの企業は、世界の上場企業における温室効果ガス排出の半分以上を占めており、LGIMは持続可能な投資を実現するための鍵を握っているのです。

新たにダイベストメント対象とされた企業には、中国工商銀行やAIGなどが含まれており、それぞれ石炭事業への関与や炭素排出に関する情報開示について、十分な取り組みが行われていないと評価されています。LGIMでは、企業が今後実質的な改善策を講じることが不可欠であり、そうでない場合には、議決権行使において反対票を投じることになります。

さらに、LGIMは従来の投資除外リストにランク付けされていた米国食品小売のクローガーを再び投資対象に戻すことを発表しました。これは、クローガーが森林破壊ポリシーや情報開示を改善し、気候の影響が少ない植物由来商品への移行に貢献したことによるものです。このように、LGIMは企業の改善の可能性を見極めながら、ダイベストメントの戦略を展開しています。

エンゲージメントの強化と最小基準の設定

LGIMは、気候関連のリスクに対する認識を高め、各企業との対話を強化するための施策も講じています。昨年は、58社に対してより深いエンゲージメントを進め、その結果、約75%の企業がLGIMの要請に応じる形で、排出量削減の目標を導入しました。これにより、LGIMが推奨する気候関連取り組みの最低基準も明示され、企業がその基準を満たすことが求められるようになっています。

また、LGIMが評価を行う際には、企業の気候に対する取り組みを「緑」「黄」「赤」といった信号機方式で公開しています。この評価基準を基に、企業の取締役会における気候対応の状況や温室効果ガス削減プログラムが展開されているかどうかを、今後の議決権行使に反映させる予定です。

LGIMのCEOミッシェル・スクリムジャー氏は、「気候変動は最も重要なサステナビリティの問題の一つであり、私たちの取り組みが企業や政策立案者とのエンゲージメントに大きく影響することを信じています」と述べています。彼女は、気候変動対応を強化することで、企業の投資対象としての魅力を底上げし、持続可能な未来の確立を目指すことがLGIMの使命であると強調しています。

市場全体への影響

LGIMの取り組みによって、気候変動問題に関する全体的な関心が高まる一方で、アジア太平洋地域の企業がLGIMが求めるミニマムスタンダードを満たしているのは、依然として20%未満という現実も浮き彫りとなっています。特に、電力業界や自動車業界の評価が高まる一方で、鉄鋼や航空業界は改善が見られないと指摘されています。

LGIMは、今後も企業へのエンゲージメントを続け、気候変動リスクに対する企業の取り組みを評価する基準を引き上げていく方針です。投資家として、持続可能な社会の実現に向けた大きな役割を担うことを自覚し、責任を持った資産配分を進めていくとしています。

このように、LGIMは気候変動への対応を強化する中で、持続可能な投資を促進し、企業に対する圧力を一層高めていく姿勢を貫いています。今後もLGIMの動きから目が離せません。

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