西洋美術史の名案内人、池上英洋さんの新刊『額縁のなかの女たち 「フェルメールの女性」はなぜ手紙を読んでいるのか』が発売されました。
本書では、古代から現代までの西洋美術における女性像に焦点を当て、その歴史的変遷を考察しています。
女神、聖母、魔女、娼婦、主婦、少女、ファム・ファタルーーなど、様々な女性イメージが、時代や社会状況によってどのように変化してきたのか、興味深い事例を交えながら解説されています。
池上さんは、当時の社会における女性のあり方を明らかにすることで、名画誕生の舞台裏に迫ります。また、西洋絵画の画題の多くを占めてきた女性像だけでなく、「描く」側として自らの芸術を切り開いてきた女性画家にもスポットを当て、西洋美術史の新たな姿を描き出しています。
本書の魅力は、豊富な画像資料にあります。140点を超える名画がフルカラーで掲載されており、古代のヴィーナス像から、ルネサンス、近代、現代に至るまで、女性像の歴史を視覚的にたどることができます。
レオナルド・ダ・ヴィンチの《白貂を抱く貴婦人》や、ジョン・エヴァレット・ミレイの《チェリー・ライプ》など、誰もが知る名画はもちろんのこと、あまり知られていない作品も紹介されています。
これらの名画を通して、女性像がどのように表現され、受け止められてきたのか、改めて考えることができます。
池上さんの軽妙な語り口と、わかりやすい解説によって、西洋美術史がぐっと身近に感じられます。
西洋美術に興味がある方はもちろん、女性史や社会史に興味がある方にもおすすめの1冊です。