Craif、尿検査によるがん早期発見に繋がる研究成果を発表
2024年10月、Craif株式会社が、第11回日本細胞外小胞学会学術集会にて、画期的な研究成果を発表しました。この研究は、尿の中に含まれる細胞外小胞(EV)内のマイクロRNA(miRNA)に着目し、がんの早期発見に向けた新たな可能性を示すものです。
従来の血液検査を凌駕する革新性
従来のがん検査では、血液検査が一般的でしたが、Craifの研究は、尿を用いた検査を提案することで、患者にとってより負担の少ない、非侵襲的な検査方法の実現に大きく貢献しています。尿検査は採尿だけで済むため、痛みを伴う採血の必要がなく、患者にとって非常に優しい検査方法と言えるでしょう。
高い精度と信頼性
研究では、尿中EV由来のmiRNAが、血液中のmiRNAと高い相関関係を示すことが確認されました。具体的には、相関係数0.7以上という高い一致率を達成し、尿検査の高い信頼性を示す結果となりました。このことは、尿検査が血液検査に匹敵する精度でがんマーカーを検出できる可能性を示唆しており、今後の医療現場での活用に大きな期待が寄せられています。
特異的なmiRNAの発見
さらに、研究チームは、尿中miRNAと血漿miRNAの間で、特定の違いを発見しました。この発見は、尿中miRNAが、特定のがん種を識別するバイオマーカーとしての可能性を示唆しており、より正確ながんの診断に繋がる重要な一歩となります。
産業応用への道
研究では、採取した尿サンプルを-80℃で長期保存しても、miRNAプロファイルが安定していることが確認されました。このことは、尿サンプルの保存や輸送における利便性を高め、産業的な利用可能性を広げる重要な発見と言えるでしょう。将来的には、大規模なスクリーニング検査の実施や、遠隔地における検査の普及など、医療現場への更なる貢献が期待されます。
Craif株式会社について
Craif株式会社は、2018年創業の名古屋大学発ベンチャー企業です。独自の基盤技術「NANO IP®︎」を用いて、体液中の微量な生体物質を高精度で検出する技術を開発しています。同社は、この技術を基に、がんの早期発見や個別化医療の実現を目指した検査の開発に積極的に取り組んでおり、尿を用いたがん検査「マイシグナルシリーズ」も提供しています。
まとめ
Craif社のこの研究成果は、がん検診におけるパラダイムシフトを起こす可能性を秘めています。非侵襲的で、痛みを伴わず、高精度な検査方法の実現は、早期発見・早期治療による患者さんのQOL向上に大きく貢献すると考えられ、今後の展開に注目が集まります。