能登半島地震と豪雨におけるトイレ支援の完了と教訓

能登半島地震と豪雨へのトイレ支援完了報告

2024年1月2日、能登半島地震とその後の豪雨で多くの市民から切実なトイレ支援の要請が寄せられました。「助けてください」と響く声は、危険で劣悪な環境におかれた人々の深刻な状況を物語っています。自衛隊やボランティア団体、地域住民が協力し、約545日の活動を経て、ついに2025年6月30日をもってこの支援が終了しました。

延べ34.5万人、145万回以上のトイレ支援が行われ、その過程には様々な喜怒哀楽が詰まっています。支援終了をもって、これまでの経験から得た教訓や今後の課題を整理し、次の災害に向けた取り組みを進める必要があります。

1. 最優先課題

① 早期に100台体制を構築

支援が始まった際、被災自治体から82台のトイレ要請があったにもかかわらず、派遣できたのは22台だけでした。これは明らかに不足しており、根本的な課題を露呈しました。現時点で32自治体がネットワークに参加しており、早期に100台体制を整えることが目標です。

② 給水活動の強化

移動型トイレの清水タンクは約1日分の水しか持たず、給水活動が追いつかないことで使用中止や追加派遣が行えないという状況が発生しました。断水地域での支援にあたるためには、移動型トイレ8台につき給水車1台と職員2名の確保が必要であり、給水車の確保と活動の強化が急務です。

③ 支援パッケージの改良

調整、情報提供、給水、汲取、点検、修繕、移設、引継ぎの各プロセスが一部でも欠けると、支援継続が困難になります。自治体が求める最低限のサポート体制を構築し、支援環境の質の向上に取り組むことが必要です。

2. 被災自治体の圧迫された状況

被災自治体の職員は、自らも市民であり被災者でもあります。能登半島地震においても職員たちは、いち早く市民の命を守るべく救助活動に奔走しましたが、限られたリソースでの対応は容易ではありませんでした。特にトイレの確保と管理に関する業務は、100人近くと調整を行わなければならず、膨大な事務負担がかかりました。

彼らの勤務時間の超過や業務の重圧により、ミスが多発し、効率的な救助活動が困難になる事態も見受けられます。今後は、こうした職員の状況も考慮し、前提条件として支援組織が対応策を講じる必要があります。