革新をもたらす！人の呼吸技術を活用した冷却システムの実現

新しい冷却技術の幕開け

人の呼吸現象を取り入れた革新的な二相液浸冷却技術が、次世代型電気自動車やデータセンターの熱管理に革命をもたらす。これは、山口東京理科大学の結城教授が率いる研究チームと株式会社ロータス・サーマル・ソリューションの共同開発によるもので、成長型中小企業等研究開発支援事業（Go-Tech事業）を通じて実現した。

技術の概要

この新たな冷却技術は、人間の呼吸を模した特殊な流動現象「ブリージング現象」を利用しており、世界最高の冷却性能を誇る。従来技術では最高でも300W/cm²程度の冷却性能が限界であったが、実験では534W/cm²を達成し、最終的に735W/cm²という前例のない性能を実現した。

この進化的技術は、特に高発熱を伴う電気自動車のインバータや、高度情報化社会を支えるデータセンターの冷却において有望である。これにより、熱処理のコストや脱炭素化の流れにも貢献できると期待されている。

ブリージング現象とは

ブリージング現象は、冷却液の沸騰や蒸発といった物理現象から生まれる。蒸気の排出経路と液の供給経路を分離することで冷却限界を飛躍的に引き上げることが可能で、蒸気の排出によって自動的に液が吸入される自発的な現象を利用する。この技術は非常に高い熱伝導性を持つ材料、ロータス銅を使用しており、その内部での冷却効果も活用されている。

環境への影響

この冷却技術の導入により、エネルギー効率が大幅に向上するため、急速に進展するAIや情報社会におけるデータセンターにおいて、エネルギー消費の削減が期待できる。データセンターのサーバーは、従来の水冷技術を用いると電力消費が増加しがちであるため、この新技術は時代のニーズに合致したものといえる。

今後の展開

研究チームは、一般社団法人日本液浸コンソーシアムを設立し、ステイクホルダーとの共創により国際競争力をさらに高めていく考えだ。また、国際標準化を進めることで、次世代電気自動車とデータセンターの冷却においてエコシステムを構築し、持続可能なグリーントランスフォーメーションの実現に向かって邁進している。

この冷却技術に基づく製品も既に商用化に向けて動き出しており、今後の展開が非常に楽しみである。国内外での競争力を強化し、グローバルな市場での展開を期待する。