不妊手術訴訟:自己決定権
2024-02-26 14:10:01
「わたしの体は母体じゃない」訴訟:不妊手術の自己決定権を求める5人の女性が国を提訴
「わたしの体は母体じゃない」訴訟:自己決定権を巡る闘い
2024年2月26日、東京地方裁判所にて、画期的な訴訟「わたしの体は母体じゃない」訴訟が提起されました。5人の女性が原告となり、国(法務大臣)を被告として、母体保護法の違憲性を訴えています。この訴訟は、日本の女性の権利、特に生殖に関する自己決定権を巡る重要な闘いです。
訴訟の背景:母体保護法と女性の生き方
原告となった5人の女性は、それぞれ異なる事情を抱えながらも、共通して「不妊手術を受けたい」という強い思いを持っています。10代の頃から妊孕性のある体に違和感や嫌悪感を抱き、不妊手術を望んできた女性、母から「女性にとって一番大切なことは結婚して子どもを作ることだ」と言われ、強いプレッシャーを感じてきた女性、性的少数者として、妊娠・出産を全く望まない女性など、多様な背景を持つ女性たちが声を上げました。
彼女たちは、母体保護法が、女性の生殖能力を「母体」として捉え、出産を前提とした社会構造を強いることで、女性の自己決定権を侵害していると訴えています。現在の母体保護法は、不妊手術を厳しく制限しており、多くの女性にとって、自分の身体に関する重要な決定を自由に下すことができない現状があります。
訴訟の請求内容:憲法違反の指摘
原告側は、母体保護法の規定が憲法13条(個人の尊重)と憲法24条2項(婚姻の自由)に違反すると主張しています。憲法13条は、個人の尊厳と自己決定権を保障するものであり、不妊手術の可否を個人の意思で決定する権利を制限することは、この権利を侵害する行為だと主張。また、憲法24条2項は、個人の尊厳と両性の平等を前提に、家族に関する事項を規定すべきと定めており、母体保護法が女性の生殖能力を過度に重視し、女性を「母体」として規定していることは、この趣旨に反すると指摘しています。
具体的には、以下の3点を請求しています。
1. 不妊手術を受けることのできる地位があることの確認
2. 不妊手術を受けられるようにしないことは違法であることの確認
3. 立法不作為による国家賠償請求
訴訟の意義:社会への問いかけ
この訴訟は、単なる法的な争いではありません。それは、日本の社会が、女性の生殖に関する自己決定権をどのように尊重していくべきかという、根本的な問いかけです。
原告たちの強い思いは、女性が自分の体について自由に決める権利、そして多様な生き方が尊重される社会の実現を求めるものです。この訴訟の行方は、日本の女性の未来を大きく左右する可能性を秘めています。 判決の行方だけでなく、この訴訟が社会に提起する問題意識を広く共有し、議論を深めていくことが重要です。
関係団体:LEDGEとCALL4
本訴訟は、公共訴訟支援に特化した専門家団体「LEDGE(レッジ)」と認定NPO法人CALL4の支援を受けて行われています。LEDGEは、公共訴訟に必要なリソースを社会から集め、訴訟活動を支援しています。CALL4は、訴訟費用のクラウドファンディングを実施しており、ウェブサイトで詳細な情報が公開されています。
この訴訟は、多くの人の注目を集めており、今後の展開が注目されます。
会社情報
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LEDGE
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