N-NOSEによる新たながん再発モニタリングの可能性
日本で開発された線虫を用いたがん検査「N-NOSE」が、再発モニタリングツールとしての有効性を示しました。この技術は、株式会社HIROTSUバイオサイエンスと東京大学医学部附属病院が共同で取り組んだ臨床研究を通じて、その可能性が証明され、2024年12月18日に国際的な学術誌BMC Cancerに掲載されました。
N-NOSEとは?
N-NOSEは、線虫の嗅覚を利用してがん特有の匂いを検知する革新的な技術です。具体的には、尿中に含まれる匂い分子を嗅ぎ分けることで、がんの有無を高精度に判定します。この手法は、痛みや侵襲を伴わず、再検査が容易なため、患者にとっても負担が少なく、特にがんの早期発見において注目されています。
これまで、N-NOSE技術は20種類以上のがんに対して高い検出感度を持つことが報告されており、全国の医療機関で導入されてきました。その実績から、再発や転移の監視機能が期待されていました。
研究の背景と目的
本研究は東京大学大学院医学系研究科の瀬戸泰之教授が主導し、上部消化管がん患者の術後経過をモニタリングすることを目的としています。対象となったのは胃がんおよび食道がんを持つ患者40名、期間は2年間の前向きコホート研究として実施されました。
研究では、術前と術後に尿検体を複数回採取し、それをN-NOSEで分析しました。特に血管浸潤を伴う再発の有無に注目し、その結果が明らかになりました。
研究結果
結果として、血管浸潤を伴う上部消化管がんの再発患者において、尿を100倍希釈した際のN-NOSEインデックスが非再発群と比較して有意に上昇していることが確認されました。このことから、N-NOSEはがんの再発モニタリングにおける有効なツールである可能性が示されました。
この結果は、N-NOSEが今後がん患者の術後フォローアップにおいて重要な役割を果たすことを示唆しており、臨床応用の道が開ける可能性があります。
今後の展望
今回の研究結果は、N-NOSEががんの再発モニタリングに有効であることを初めて示したものとされ、今後の臨床応用と研究の拡大が期待されます。がんは日本において最も多い死因の一つであり、早期発見と再発監視の重要性がますます高まる中、この技術は大きな意義を持つと言えるでしょう。
HIROTSUバイオサイエンスは、「人々の健康と未来の安心を守ること」を理念に掲げ、生物の能力を活かした検査技術の研究・開発を通じて、これまで数多くのがん検査技術を世に送り出しています。N-NOSEの進化系である「N-NOSE plus」や愛犬・愛猫のための「N-NOSE あにまる」など、さらなる発展にも目が離せません。
今後もN-NOSEが医療現場でどのように活用されるのか、そして患者さんにどれだけの安心を提供できるのかが期待されます。
詳細は
HIROTSUバイオサイエンスの公式サイトでご確認ください。