豊田市で開催のWRC最終戦に向けた消防体制と最新技術の導入
2023年、世界中のラリーファンが注目するFIA世界ラリー選手権(WRC)の最終戦、「フォーラムエイト・ラリージャパン2023」が豊田市で開催されました。本イベントの特筆すべき点は、自治体として初めての主催となり、豊田市、トヨタ・モータースポーツ・クラブ、特定非営利活動法人M.O.S.C.Oが共同で企画したことです。このような背景の中、安全対策として、ヨネ株式会社が提供した超耐熱ファイヤーブランケットが導入されることとなりました。
WRCとは
WRCは、国際自動車連盟(FIA)が主催する自動車競技の世界選手権の一つで、約1年をかけて世界中の様々な地形や気候条件に挑むレースです。数十台のラリーカーが多様なコンディションの道を駆け抜けるこの大会は、より高い技術とパフォーマンスが求められ、この競技の中でも特に注目を集めているのが、「Rally1」クラスのWRカーです。この車両は市販車を基にした特別設計であり、環境意識を考慮したハイブリッドシステムとバイオ燃料の使用が特色です。
リチウムイオンバッテリー火災の危険性
近年のラリーカーではハイブリッドシステムが一般化していますが、使用されるリチウムイオンバッテリーは熱暴走のリスクを抱えています。熱暴走は、バッテリーが衝撃や加熱により過熱し、最終的には火災を引き起こす現象です。この火災では、バッテリー内部で酸素が放出されながら燃え続けるため、通常の消火方法では消火が非常に難しく、再燃のリスクも高いのが問題です。
超耐熱ファイヤーブランケットの導入
こうした危険に備えるため、豊田市消防本部はヨネ株式会社の超耐熱ファイヤーブランケットを導入しました。このブランケットはノルウェーのBridgehill社が製造したもので、1500℃の高温にも耐える炭素系素材グラファイトを使用しています。そのため、ガソリン車両の火災はもちろん、EV・HEV火災やリチウムイオンバッテリー火災に対しても効果を発揮します。
本ブランケットを使うことで、火災車両を覆い、瞬時に火と煙、さらには有毒ガスを内部に閉じ込めることができ、消火が困難なEV・HEV火災にも対応します。さらに、水や泡消火薬剤を使わずに煙も封じ込めるため、環境に優しい消火方法となります。この点が、ラリージャパンの環境への配慮にも合致しています。
ヨネ株式会社の取り組み
ヨネ株式会社では、新たな技術の導入によって、フォーラムエイト・ラリージャパン2023の安全対策を支援しています。今後はEV・HEV車両の火災リスクに対する備えとして、ファイヤーブランケットの供給を拡大し、2023年度には50枚、2025年度には500枚を目指しています。
この取り組みは、単に技術の導入だけでなく、環境保護を意識した持続可能な社会の実現にも寄与するものといえるでしょう。火災の危険性が常に伴うラリーの現場において、ヨネ株式会社は安心・安全な競技開催を目指して、今後も努力を続けていく姿勢を示しています。
会社概要
- - 住所: 京都市中京区西ノ京西中合町23
- - 設立: 1953年
- - 資本金: 6000万円
- - 代表取締役社長: 米田哲三
- - 事業内容: 流・粉体機器及び消防防災用機器の製造販売
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