ICEYE、第4世代小型SAR衛星「Gen4」を商用運用開始
フィンランド発の企業、ICEYEが最新の小型SAR衛星「Gen4」の商用運用をスタートさせました。これは、防衛や防災の分野での迅速かつ精密な情報提供を可能とする最先端の技術を駆使した衛星です。特筆すべきは、その解像度の高さと広範囲な観測能力。
Gen4の特徴
「Gen4」は、最大で16cmの解像度を実現し、従来の150kmの観測幅を大幅に拡大し、400kmの幅で観測が可能です。この技術革新により、1回の軌道通過で得られる画像数が増え、重要な観測エリアに背後指示が加わります。これにより、必要な情報を迅速に、しかも高頻度で取得できるため、特に防衛や情報収集の分野での価値が高まります。
高頻度再観測
Gen4は、1日あたり最大500枚の画像を取得でき、そのうち半数は幅2,000kmの範囲内に重点を置くことが可能です。わずか15分以内での高頻度再観測ができ、これにより変化の早い事象にも迅速に対応できます。さらに、同一軌道通過での観測指示からデータ配信までをほぼリアルタイムで完結することが可能です。
進化したデータ伝送
新たに強化された大型アンテナによって、これは実現されています。高解像度の画像が提供され、従来比250%に拡大した観測領域をカバーすることで、海域や国境などの大規模なシーンも一度の通過でキャッチできます。これにより、時間敏感な対象の再観測も容易に行えるようになりました。
AIとの統合
さらに、Gen4が提供する高解像度データとICEYEのAI自動検知・識別システム「Detect & Classify」との組み合わせにより、船舶や航空機、車両の識別精度が90%を超えると言われています。これにより、データの価値は一段と向上し、防衛や情報収集における迅速な決定を可能にします。
米国の輸出規制外
「Gen4」は、各国の宇宙能力に対応可能であり、米国の厳しい輸出規制(ITAR)の対象外であることも大きな特徴です。ICEYEはこのシステムを地上局の整備、運用訓練、ソフトウェアアップデートを含むパッケージで提供しており、最短12カ月で運用を開始できる体制が整っています。
ICEYEの展望
ICEYEの共同創業者兼CEOのラファル・モドルゼフスキ氏は、「Gen4は単なる技術的進歩ではなく、SAR衛星分野でのICEYEの革新を示す象徴」と述べています。また「この衛星が、防衛や情報収集の現場で価値ある決定を支えるゲームチェンジャーとなることを期待しています」とその意義を強調しました。
ICEYEは現在、世界最大規模のSAR衛星コンステレーションを誇り、データ供給の最前線として今後も多くの分野での活用が期待されています。日々進化する技術により、私たちの地球観測の在り方も変わりつつあります。今後の展開に目が離せません。