先駆的なスマートコンタクトレンズ開発プラットフォーム
株式会社シードが2025年2月4日に、スマートコンタクトレンズ(以下、スマートCL)の製造を加速させるための革新的なオープンソースプラットフォームを公開しました。この新しいプラットフォームは、同社がイギリスおよびスイスの子会社との共同プロジェクトとして進めてきたものです。
プラットフォームの特徴
このプラットフォームは、制御LSI(大規模集積回路)の設計をRAMXEED株式会社が担当し、フレキシブル基板やチップ実装プロセスは株式会社センチュリーアークスが手掛けるなど、多くのマイクロエレクトロニクス関連企業との協力のもとで形成されています。これにより、内蔵された電子機器や周辺機器のシステム全体を統一したアーキテクチャで提供することが可能となります。
このプラットフォームに参加する企業や研究機関は、通信、エンターテインメント、教育など様々な分野において、革新的なサービスや製品の開発が行える機会が増えることが期待されています。
スマートCL開発の実情
近年、スマートコンタクトレンズの開発には複数の技術領域の融合が求められ、その開発コストは高額になっています。このため、単独の企業で開発を継続することが難しくなっているのが現状です。在宅勤務やリモートワークの普及により、デジタルデバイスへのニーズが高まる中、シードグループはこのプラットフォームを各種企業や大学に提供することで、新しいアプリケーションの開発を促進することを目指しています。
実際、シードグループはすでにLEDチップをフレキシブル基板上に実装し点灯することに成功しており、これが新たな応用事例としても期待されています。このように、参加企業は新たなアイデアをプラットフォームに導入することで、スマートフォンやメガネ、ヘッドマウントディスプレイ向けの周辺機器を開発することができます。
技術的な統合
シードグループは、マイクロエレクトロニクス技術とレンズ内への電子部品埋め込み技術を融合させ、このプラットフォームを構築しています。最終的な目標は、スマートCLを単なる人工知能としてではなく、人間の知識と共に機能する存在にすることです。この汎用プラットフォームは、スマートCLの未来に無限の可能性を開きます。
今後の展望
シードグループは、卓越した技術革新を追求し、必要に応じてスマートCLのバージョンアップを続ける意向を示しています。世界中の技術企業や研究機関との提携を進めることで、革新的なビジネスが生まれることを期待しています。このプラットフォームは、新たな市場の成長を促進し、多くの関係者にとって価値ある機会を提供するものです。
スマートコンタクトレンズの可能性
早稲田大学大学院の教授である三宅丈雄氏は、スマートコンタクトレンズがヘルスケアや拡張現実、視力補正などの新たな市場を創出する可能性について言及しています。医療機器としての開発コストの高さから、多くのスタートアップが開発を断念している現状に対し、このプラットフォームの提供はプロトタイプ開発コストを抑え、スマートコンタクトレンズ市場の成長を助けると評価しています。
シードの浦壁社長は、この新しいプラットフォームがスマートCLの開発を加速し、お客様とパートナーにとって前例のない価値を生み出す機会を提供することを強調しています。彼はこの変革に多くの企業が参加し、スマートウェアラブル機器の進化を共に進めていくことを期待しています。