座って排尿する男性が増加中!その背景とは?
近年、日本の男性における座って排尿する習慣が注目を集めています。一般社団法人日本排尿機能学会が実施した大規模な疫学調査の結果、20代男性の約7割、50代でも半数以上が自宅で座って排尿していることが明らかになりました。この調査結果は、国際的な学術誌『International Journal of Urology』に掲載され、大きな話題となっています。
調査結果から見える意外な事実
今回の調査では、年齢層別に座って排尿する割合に差があることが判明しました。20~30代では約70%と特に高く、年齢を重ねるごとに減少する傾向が見られました。しかし、50代でも約50%と、依然として高い割合を維持しています。
従来、座って排尿する理由は、下部尿路症状の改善や姿勢の安定などが考えられてきました。しかし、今回の調査では、「排尿症状あり」や「全身的な状態が不良」な人の割合に、排尿姿勢による差は認められませんでした。
そこで注目されたのが「結婚の有無」です。調査結果によると、結婚している男性の方が、座って排尿する割合が高いという、意外な事実が明らかになりました。これは、年齢に関わらず共通した傾向でした。
座って排尿の増加、その背景に潜むもの
研究チームは、結婚している男性の座って排尿の増加について、トイレの衛生環境への配慮が主な原因ではないかと推測しています。立位排尿ではトイレが汚染されるリスクが高いため、結婚して家庭を持つ男性は、清潔なトイレ環境を保つために座って排尿する傾向があると考えられます。
さらに、コロナ禍初期にトイレでの感染リスクに関する情報が流れたことも、座って排尿する習慣の増加に影響を与えた可能性も指摘されています。
国際比較で明らかになった日本の現状
今回の調査結果を、他の国のデータと比較することで、日本の現状が見えてきます。YouGovの調査によると、欧米諸国では座って排尿する男性の割合は国によって異なりますが、ドイツで62%と高い割合を示しています。一方、日本は約60%と、ドイツと並んで世界トップレベルの高さです。
今後の課題:トイレトレーニングやトイレ設計の見直し
もし、座って排尿する人が今後主流になれば、トイレトレーニングの方法や、学校、職場、公共施設などにおける男子トイレの設計を見直す必要が出てくるかもしれません。特に、幼少期のトイレトレーニングにおいて、立位排尿だけでなく座って排尿する方法も教えることが重要となる可能性があります。
まとめ
日本の男性における座って排尿の増加は、衛生意識の高まりやコロナ禍の影響、そして、結婚というライフステージの変化など、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられます。今後、さらに研究が進み、より詳細な原因解明が期待されます。同時に、社会全体として、多様な排尿習慣に対応できるような環境整備が求められています。