住友化学グループとT2が挑む自動運転トラックの未来、物流業界が変革へ

住友化学グループとT2、未来の物流を切り拓く

住友化学株式会社、住化ロジスティクス株式会社、そして株式会社T2の3社は、2025年7月より自動運転トラックを活用した幹線輸送の実証実験を開始することを発表しました。この取り組みは、関東から関西にかけて展開される約500kmの高速道路一部区間を利用します。

背景と目的

現在、日本の物流業界は深刻なドライバー不足に直面しています。その中で、自動運転技術の導入が持つ可能性が注目されています。住友化学グループが生産する化学品を対象とし、T2が開発したレベル2の自動運転トラックを用いて、安全にかつ環境に優しい輸送を実現することが期待されています。

具体的には、カーボンニュートラルに資する燃料を使用し、CO₂排出量の削減を目指します。この実証実験は、2026年度より導入される「排出量取引制度」にも対応できるかどうかを検証する重要な役割を果たします。

実証内容

この実証は、以下の要素を含みます。

- 時期: 2025年7月から
- 実施場所: 関東から関西までの約500kmの高速道路一部区間
- 役割分担: 住友化学が貨物を提供し、住化ロジスティクスが輸送オペレーションを行い、T2が総合的なマネジメントと実験用車両を担当します。
- 積載物: 化学品等を想定

実証においては、ドライバーが乗車した状態で自動運転トラックが走行し、様々な運行ルートや走行リードタイムを検証するほか、オペレーションパターンの有効性やカーボンニュートラル燃料を用いた輸送の効果を評価します。

各社の見解

住友化学の常務執行役員である大野顕司氏は、「物流環境が厳しくなる中、自動運転トラックは重要な手段として期待しています。多様な荷姿を持つ化学品の安全な輸送を通じて、持続可能な物流の実現を目指しています」と語ります。

一方、住化ロジスティクスの代表取締役社長、高木国博氏は、「自動運転トラックによる実証は、ドライバー不足という社会課題の解決に大きく貢献し、物流業界の未来を変革する挑戦です」と期待を寄せています。

また、T2のCEO、森本成城氏は、「本実証により、化学品の持続可能な輸送とカーボンニュートラルの実現に向けた道筋を確立したい」と述べています。

未来への展望

3社は実証の結果を基に、2027年にレベル4の自動運転トラックの実現に向けて協力を深めていく予定です。特に、廃食油を原料とした「リニューアブルディーゼル」の活用を目指し、次世代の軽油代替燃料としての物流の構築を進めることが求められています。

今後も、住友化学グループ、住化ロジスティクス、T2の取り組みが、持続可能な物流の実現と、社会全体の課題解決にどう寄与していくのか、注目が集まります。