大日本印刷の新しい教育システム
大日本印刷株式会社(DNP)は2023年から「メタバース空間を利用したラーニングシステム」を展開し、教育現場に新しい風を吹き込んでいます。このシステムは、不登校支援や海外ルーツの児童への日本語指導、教師との授業や面談、グループワークなど、多岐にわたる教育ニーズに応えています。特に、都内28の自治体および静岡県に導入されており、その成果に基づいて新機能の開発が行われました。
新しい3Dアバターのラインナップ
特に注目を集めるのが、個性を反映させた「3Dアバター」の種類が38に増えた点です。これにより、児童・生徒は自分のアイデンティティをより自由に表現することが可能になりました。動物やロボットなどのデザインも揃え、気分に応じてアバターを変更することができるようになりました。
コミュニケーション機能の強化
新たに追加された「ホワイトボード機能」は、児童たちが共創的にアイデアを出し合う際に大きな助けとなります。絵や図、文字を描き込むことができ、従来のテキストチャットにビジュアル要素を組み合わせることで、より活発なコミュニケーションを促進します。さらに、「ライブカメラ/画面共有機能」の搭載により、イベントや授業中のリアルタイムでの情報共有が実現しました。これにより、各地の児童たちがつながりやすくなり、柔軟な授業展開が可能になります。
安全性への配慮
また、「アカウントID表示切替機能」により、なりすましの防止や利用者の安全性が向上している点も重要です。教員が生徒のアバター上にアカウントIDを表示できることで、誰がどのアカウントに属するかが一目で確認できるようになります。これにより、児童たちが安心して参加できるような環境が整えられています。
利用者からのポジティブな反響
実際にこのシステムを導入した自治体へのアンケート結果からも、児童・生徒の約9割が継続的に参加していることが確認されました。中には「家に引きこもっていた児童が適応指導教室に通えるようになった」や「高校受験合格のモチベーションにつながった」との声も上がっています。こうした成果は、メタバースを利用した教育の新しい可能性を示唆しています。
今後の展開に期待
DNPは今後もこのラーニングシステムを多様な教育現場に展開し、より多くの児童・生徒が教育の機会を享受できるよう取り組んでいく方針です。2025年には無料体験版の提供も開始予定で、多くの人々にこの新しい教育法を体験してもらう機会が設けられます。また、「第16回EDIX東京」においても新機能のデモが行われ、さらなる普及が期待されます。
このように、DNPの教育向けメタバースは、単なるデジタル学習のツールに留まらず、全ての児童が平等に学ぶ機会を持つ環境を整えています。これからの教育の在り方として、さらなる発展が期待されます。