千葉県船橋市にある生活協同組合パルシステム千葉では、戦後80年を迎えた今年、初の「子ども平和新聞プロジェクト」を実施しました。これは、「子ども平和新聞」を発行し、4人の小学生たちがそれぞれの視点で平和について考え、表現する取り組みです。プロジェクトでは、元朝日新聞のジャーナリストである山瀬一彦氏が講師として招かれ、記者としての視点や記事の書き方を学びました。
それぞれの子ども記者は、被爆者からの体験談を聞くことで、戦争の影響と平和の重要性を実感しました。小学生たちは5年生と6年生からなり、参加したのは、浅野結音さん、中村ゾーイ麻椰さん、井上友斗さん、髙山海里さんの4人です。彼らは「子ども記者」として、まずは被爆者の方々から直接お話を伺いました。
「戦争をなくすため、自分にできることを考えたい」といった思いを持ち、応募した子どもたちは、聞いた話の中から特に心を動かされた部分を抽出し、それぞれの記事にまとめました。感想を訪ねると、浅野さんは「被爆者の話を初めて聞き、原爆の恐ろしさを知りました。戦争や核兵器を使うことは絶対にやっちゃいけないと思いました」と語りました。また、髙山さんは「新聞を書いたことで、少しでも平和に近づけるといいです」と述べ、彼らが発行した新聞のタイトルに「平和へ一歩新聞」と名付けた理由を述べました。
プロジェクトは、7月12日に始まりました。山瀬さんは記者としてのスキルや、情報をどうやって価値のある形で集めるかということを教えました。参加者は、人間の心を動かす事柄を見つけ、記録する方法について学び、その後の記事作成に向けた実践的な練習を行いました。各々が異なる視点から記事を構成し、記者の役割を実感しました。
さらに、7月21日には、千葉県生協連が主催する「子どもたちに平和な未来を2025」のイベントに参加し、実際に広島で被爆した二人の体験を聞く機会がありました。小谷孝子さんは、幼少期に遭遇した恐怖の一部を穏やかに語り、亡くした弟のことを想い「弟の分身である人形あっちゃん」と一緒に思い出を共有しました。一方で、中村紘さんは記憶の無い状況から、被爆者の一員として平和の重要性を伝えようと努力している様子が印象的でした。
朗読劇「サダコのメモ」の上演もあり、広島の「原爆の子の像」に携わった佐々木貞子さんの事例を基にした作品が紹介されました。このように、イベントを通じて参加者同士で感想を交換し、視野を広げあう機会が設けられました。
プロジェクトの締めくくりとして、子ども記者たちはインタビューを敢行し、登壇者への質問や意見を取りまとめて、自分たちの視点を反映した新聞を完成させました。この経験は、彼らの学びを深めるだけでなく、被爆者からの貴重なメッセージを未来に伝える意味でも意義深いものです。今後もパルシステム千葉は、平和な社会づくりに貢献する活動を続けていくでしょう。