中小企業の経理担当者が抱える実務課題とは?調査結果を公開
株式会社ミロク情報サービス(MJS)が実施した「中小企業の経理担当者の働き方&実務の困りごと実態調査」の結果が発表されました。本調査では、362名の経理担当者を対象に、日々の業務における課題や必要なスキルアップについての実態が明らかにされています。
調査の背景と目的
近年、中小企業や小規模事業者においては、経理業務を担当する人数が少なく、課題があっても相談相手が不在であるという声が多く聞かれます。そこで、本調査は日本全国で活動する経理担当者のリアルな声を集め、彼らが日々どのような問題に直面しているかを解明することを目的としています。特に、経理業務の効率化や相談の場を提供することが急務とされています。
調査の概要と結果
調査は2024年6月に実施され、対象はMJSが発行する月刊誌「Monthly Report」の読者や、企業向けのメールマガジン受信者です。主な結果は次の通りです:
- - 伝票作成や仕訳入力が最も多い課題:全体の27.3%がこの業務に悩みを持っています。特に、労務管理や所得税に関する知識が必要であるため、頻繁な業務の中で課題となっています。
- - 経費精算業務:21.3%の回答者がここに困難を抱えています。
- - 法制度改正への対応:24.9%がこのテーマを挙げ、インボイス制度や電子帳簿保存法など最近の制度変更により業務負担が増している現状が浮き彫りとなっています。
年商および経理担当者人数別の分析
調査結果では、年商と経理担当者の人数に応じて課題の内容が変化しています。例えば、年商20億円未満の企業では、経理の人数が少ない場合に経費精算が特に困難であるという結果が示唆されています。このことから、業務の効率化やシステムの導入が急務であることが分かります。
回答者の特徴
調査に参加した経理担当者の83.7%が非上場企業に勤務し、その半数は従業員数が100名未満の企業からの回答でした。経理担当者1人または2~3人で業務を行っているケースが多く、このことが業務負担感に繋がっていると考えられます。
総括:効率化のカギはルール整備
多くの経理担当者が抱える課題には共通点があり、それは業務のルール整備が不十分であることです。社内ルールが整備され、業務フローが明確になることで、イレギュラーな処理が少なくなり、結果として業務の効率化が進むことが期待できます。
今後の展望
MJSは今後もこのような活動を通じて、中小企業の経理業務の改善に貢献していく意向です。また、調査結果を基にしたセミナーも予定されており、経理実務の効率化に向けた具体的な改善策を共有する場として機能することが期待されています。
この調査が、全国の中小企業の経理担当者が抱える実務上の課題解決の一助となることを願っています。