日立と東大が開発した動的プルーニング技術
近年、AIやビッグデータの利用が進む中、データ処理技術がますます重要視されています。特に、データ検索の効率化はAIの性能向上や社会課題の解決に不可欠な要素とされ、特に重要性を増しています。株式会社日立製作所(以下、日立)と国立大学法人東京大学(以下、東大)は、複雑に絡み合ったビッグデータの検索速度を大幅に向上させる「動的プルーニング技術」を発表しました。この技術により、特に製造業におけるデータ分析業務が迅速化されることが期待されています。
動的プルーニング技術とは何か
従来のデータベースにおけるグラフ構造データの検索は、多くの場合、再帰問合せ処理と呼ばれる手法を用いて行われています。しかし、この方法では不要なデータまで何度も読み込む必要があり、結果として検索速度が低下するといった課題がありました。
この「動的プルーニング技術」は、再帰問合せ処理中に得られた情報をもとに、次に読み込むべきデータをリアルタイムで特定します。これにより、無駄なデータ読み取りが減り、検索速度が最大で135倍も向上することが確認されました。
技術の実用化と応用可能性
日立はこの技術をもとに、超高速データベースエンジン「Hitachi Advanced Data Binder (HADB)」に組み込み、すでに提供を始めています。また、HADBは生産工程を効率化する「IoTコンパス」など、データの利活用を支援するサービス群「Hitachi Intelligent Platform」の一部として利用可能です。
これまでの成果は製造業の製品出荷判定に適用され、大幅なデータ検索速度の向上が確認されていますが、今後は医療や金融分野でもこの技術を活用し、社会課題の解決に貢献することが期待されています。
今後の展望
日立と東大は、この動的プルーニング技術の更なる高度化を目指し、AIとの連携を強化する方針です。すでに、2025年6月にはこの技術に関する最新の成果を国際会議で発表する予定です。この革新技術がもたらす影響は、製造業にとどまらず、さまざまな分野に及び、多くの企業にとって必須の技術となることが期待されています。
このように、日立と東京大学が共同で開発した「動的プルーニング技術」は、AIやビッグデータの活用をさらに加速させ、全社会に革新をもたらす力を秘めています。光明を持つ未来のテクノロジー、それが革新的なデータ検索の新時代を切り拓くことでしょう。