墨田区の新たな共創拠点がスタートアップの未来を切り拓く
墨田区は、東京スカイツリーや隅田川の美しい桜で知られる観光地ですが、実は工場が23区内で2番目に多く、ものづくりの街としても知られています。2023年10月、JR錦糸町駅から徒歩8分に新たに設立された「墨田区産業共創施設SUMIDA INNOVATION CORE(以下、SIC)」は、スタートアップと地元の中小企業が共創を通じて新しいイノベーションを生み出すことを目指しています。この取り組みについて、墨田区産業振興課の高橋正臣氏に話を聞きました。
スタートアップと中小企業の共創
墨田区は、多様な業種の中小企業が集まる地域です。2023年のデータによると、印刷業や金属製品、プラスチック・ゴム製品、機械器具など、2,100ヶ所を超える工場がこのエリアに存在します。これまで墨田区は、中小企業の支援に力を入れ、独自の施策を展開してきました。その一環として設置されたSICでは、スタートアップ企業に対して新たな価値創造の場が提供されます。
高橋氏は、「SICは単なるスタートアップ支援施設ではなく、地域のものづくり企業や大学との共創を生む拠点です」と強調します。具体的には、スタートアップが抱える課題に対し、地域の中小企業が持つ技術力やノウハウを活用し、新たなプロジェクトを共に立ち上げていくことを目指しています。
アクセラレーションプログラム「SPARK」
この共創プロセスの一環として、SICでは「SPARK」と呼ばれるアクセラレーションプログラムが用意されています。これは、創業初期のスタートアップと学生起業家を対象にした支援プログラムで、事業企画や共創プランの作成、共創パートナーの獲得を目指しています。このプログラムを通じて、受講者は具体的な成果を上げることができると高橋氏は説明します。
「SPARKは、半年間の伴走支援を行い、スタートアップや学生起業家の成長を後押しします。卒業後は、獲得した共創プランとパートナーを活用して実証実験を行い、更なる事業展開へとつなげていきます」とのことです。
多様なイベントでネットワークを広げる
SICでは、月に10回以上のイベントも開催されています。これらのイベントはピッチコンテストから交流会、工場見学会まで多岐にわたり、参加者同士の情報交換が促進されています。「共創」や「交流」がテーマとなっており、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が集まり、新しいアイデアやビジネスが生まれる機会となっています。
設備や立地のメリット
墨田区のメリットは、交通の利便性の高さと、まだリーズナブルなオフィスや住宅の家賃です。主要な駅からは成田や羽田空港へのアクセスも良好です。加えて、墨田区独自の助成金制度があり、新規事業をサポートする支援が充実している点も魅力です。
「特にプロトタイプ実証実験支援事業は、うまくいけば年間200~250万円の助成が受けられ、最大で2年間の実施が可能です」と高橋氏は語ります。これにより、企業は新たなビジネスモデルを模索する余裕が生まれます。
未来への展望
墨田区の取り組みは単なる地域振興にとどまらず、スタートアップと中小企業の共創が新たな産業の発展をもたらす可能性を秘めています。今後もこのような支援が続くことで、新たなイノベーションが生まれ、墨田区がものづくりの街としてさらに魅力を増していくでしょう。
施設概要
- - 施設名:墨田区産業共創施設SUMIDA INNOVATION CORE
- - 所在地:東京都墨田区錦糸4-17-1 ヒューリック錦糸町コラボツリー4階
- - 設置:墨田区
- - 運営事業者:デロイトトーマツコンサルティング合同会社
- - 設立:2023年10月29日
- - 公式ホームページ