動産担保融資の展望
2019-05-10 14:00:49

サービサー業務研究会で語られた新たな動産担保融資の展望と課題

サービサー業務研究会で語られた新たな動産担保融資の展望と課題



2019年5月8日、一般社団法人金融財政事情研究会が主催する「サービサー業務研究会」において、株式会社ゴードン・ブラザーズ・ジャパンの堀内秀晃氏が登壇し、テーマとして「動産・債権担保融資(ABL)の新たな動き」が取り上げられました。本会議は、金融機関による不良債権の処理における担い手としてのサービサーの役割を検討し、その業務や体制、さらには関連法規についての研究を目的としています。

サービサー業務研究会の意義


「サービサー業務研究会」は、債権管理回収に関わる様々な活動や実務が行われる場です。金融機関や研究機関、行政機関の専門家が集まり、業界の最新情報や動向について意見交換を行います。特に近年は、債務者会社の事業再生支援や公金回収など、従来の不良債権処理を超えた議論が求められています。

ABLの重要性と日米の違い


会合の中で紹介された動産担保融資(ABL)とは、企業が所有する流動資産—在庫や機械設備、売掛債権など—を担保にして資金調達を行う手法です。この手法は、不動産を持たない企業でも融資のチャンスを得ることができるため、特に今後の事業拡大を狙う企業にとって重要な手段になります。

米国のABL市場は、2017年には規模が10兆円を超えるという成長を遂げていますが、日本では従来のメインバンク制という文化が影響し、まだ十分に活用されていないのが現状です。特に無担保での融資に対しネガティブな印象が強いことが、ABLの導入を難しくしています。

とはいえ、間接金融が主流となっている日本において、今後は不動産など従来の担保に依存しない新たな資金調達手法の普及が求められています。これにより、過去に融資を受けることができなかった企業が新たな可能性を見出すことが期待されています。

債権法改正の影響


堀内氏は、2020年に改正された債権法がABLにも影響を与えると指摘しました。具体的には、譲渡禁止特約があったことで実現不可能だった債権担保による資金調達が、改正後は可能になる点や、弁済先固定によって第三債務者の保護が進むことが説明されました。また、譲渡制限特約がある債権の譲渡が可能になる一方で、譲渡制限特約の有効性が問われるなど、新たなリスクも浮上することが示されました。

これにより、日本における債権担保融資の状況が大きく変わる可能性があり、各金融機関は新たな取り組みが求められることとなるでしょう。

今後の展望


「サービサー業務研究会」は、AB管理の重要性や新たな資金調達法についての理解を深めるための貴重な場であり、今後も金融業界の専門家たちが集い、互いに学び合う機会として機能し続けると期待されます。これに伴い、サービサーの役割が一層重要になり、企業の健全な成長を支えるための新たな道筋が開けていくことを期待しましょう。

会社情報

会社名
株式会社ゴードン・ブラザーズ・ジャパン
住所
東京都千代田区大手町 1-6-1大手町ビル 3 階
電話番号
03-3518-9450

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