北海道白糠町での本ししゃも製造がスタート
2024年11月20日、東京に本社を置く株式会社イミューが、北海道白糠町に設立した水産加工業の子会社「株式会社シラリカ」において、伝統的な製法で加工された本ししゃも製造を開始します。この取り組みは白糠町での60年以上の歴史を持つ老舗「大森水産」からの事業承継を受け、継承してきた味と技術を次世代へと伝える重要な一歩です。
本物のししゃもはどこに?
国内で流通しているししゃもの中で、大部分は「カペリン(カラフトシシャモ)」と呼ばれる輸入魚ですが、北海道の太平洋沿岸でのみ生息する本物のししゃもは、非常に希少です。この本ししゃもは、白糠町の茶路川や庶路川に産卵のため回遊することで知られ、毎年11月には特に美味しいししゃもが獲れる時期が訪れます。この希少な資源を守り、味わいを引き立てるために、イミューは厳選されたししゃもを製造する体制を整えています。
60年の伝統を守る
大森水産の歴史は、地元の人々にとって大切な存在でしたが、高齢化や後継者不在により、2023年8月に廃業の危機に直面しました。この危機に対し白糠町役場や地域の支援を受け、イミューが事業を引き継ぐこととなりました。イミューは、地域に根を張り、伝統的な製法を尊重しながら新たな価値を提供することを目指しています。
未来へつなぐ製法
イミューの員は当初、ししゃもについての知識が少なかったため、大森水産の社長である大森照子さんから直接指導を受け、製法や目利きの技術を習得してきました。2024年度には従業員数を増やし、製造体制を強化することで、約2トンの本ししゃもを販売することを目指しています。これにより、伝統を次の世代に伝えていく役割を果たしていきます。
アイヌ文化に根付くししゃも
本ししゃもは、アイヌの伝承では「神様がくれた魚」としてのストーリーがあります。この魚はもともと柳の葉だったとされ、自然と神々が結びつくアイヌ文化において深い意味を持っています。イミューは、ししゃもの歴史や文化に敬意を表し、地域の人々とともにその価値を守っていく姿勢を持っています。
株式会社イミューについて
イミューは、「地域に根を張り、日本を興す」をモットーに、地域資源のブランド化と産業創出に取り組んでいます。2022年にはふるさと納税向けの寄付可視化システムを提供し、現在は白糠町に本社を持つ「株式会社シラリカ」を通じて、極寒ぶりや本ししゃもの製造・加工を行っています。地域の産業を支援し、ブランド化を進めることで、日本が誇る食文化を未来へとつなげていくのです。