デジタル化の期待と社会意識
2024年6月19日から6月23日まで、電通総研のヒューマノロジー創発本部が実施した「クオリティ・オブ・ソサエティ指標2024」の調査結果が発表されました。この指標は、社会の質を測るための定量調査であり、2019年に初めて発表され、毎年実施されています。今年の調査では、全国の18歳から79歳までの男女12,000人が対象となり、インターネット調査によって集められたデータが注目されています。
デジタル化への期待
まず、調査からはデジタル化が期待される分野について興味深い結果が得られました。上位5つの分野は以下の通りです。
1. 行政サービス(44.8%)
2. 住民サービス(31.1%)
3. 健康・医療(26.1%)
4. 教育(16.5%)
5. 防災(16.2%)
これらの結果から、多くの人々がデジタル化によって自らの生活が便利になることを期待していることがわかります。
デジタル化施策の進捗
さらに、昨年と比較すると、デジタル化施策の浸透度が増していると感じている人が増加したことも注目されます。具体的には、国のデジタル化施策が進んでいると実感している人は33.6%(前回比1.8ポイント増)、地域の施策は31.5%(前回比5.1ポイント増)と報告されています。デジタル化により行政手続きを効率化していると実感する割合も45.8%に達し、ほぼ半数の人々がその効果を実感しています。
情報との付き合い方
調査結果はまた、人々が情報との関わり方についてどのように考えているかも示しています。「自分は偽情報や誤情報にだまされることはないと思う」という回答はわずか25.4%にとどまっており、多くの人々が得た情報の正確性を疑っていることがわかりました。74.3%の人々が「得られた情報が正しいか疑うことも必要だ」と考えており、情報に対する懐疑心が強い状況が伺えます。
さらに、情報の信頼性を確認できる認証機関が必要だと考える人も64.4%に達しており、年齢が上がるほどその傾向が強まることが調査から示されています。
防災・減災対策への関与
防災・減災に関する意識も調査の重要なテーマです。9割以上の人々が「防災・減災対策」は解決すべき重要な課題と考えていますが、自発的に活動している人は約20%未満というのが現実です。
年々、この両方の関与意識は高まりつつあり、これからの社会において防災教育や意識を高める必要性が高まっています。
メディアの役割
最後に、災害時に重要な情報源として期待されるメディアについても調査が行われました。それによると、テレビやオンラインニュースサイト、ラジオが重要視されています。特に気になるのは、「民放地上波テレビ(62.0%)」「NHK地上波テレビ(58.0%)」「オンラインニュースサイト・アプリ(45.7%)」「ラジオ(39.6%)」など、広く利用されているメディアが長年にわたり信頼を置かれていることです。
このように、電通総研の「クオリティ・オブ・ソサエティ指標2024」は、デジタル化や社会意識の変化が日本社会に与える影響を捉える貴重な情報源として、今後の展望を考える際にも重要な指標となるでしょう。