労働時間規制緩和に関する意識調査
2023年、高市首相が労働時間規制の緩和を検討するよう指示したことに関し、エン株式会社が運営する転職サイト『エン転職』が行った意識調査が注目されています。今回の調査では、1,756名から得たデータに基づき、労働者の意識や考え方を詳しく探ることができました。
調査概要
本調査は2025年12月から2026年1月にかけて、エン転職のユーザーを対象にインターネット調査を実施しました。その結果、労働時間の規制緩和について、約6割が肯定的な印象を持つことが明らかとなりました。具体的な理由としては「労働時間の希望を実現しやすくなる」や「収入の増加が期待できる」といった意見が多く見受けられました。
肯定的な意見の背景
肯定的な意見を持つ人の中には、実際に働く意義を感じ、中長期的なキャリア形成を考える声が強まりつつあります。たとえば、20代女性は「勤務時間の短縮が求められる中で、本人の希望に応じた柔軟な働き方を実現するためには、労働時間の規制緩和が必要だ」と述べ、働きたいという意欲を活かせる環境を求める声が印象的でした。
一方で、労働者の中には、労働時間を「増やしたい」と感じている人は全体の僅か1割にとどまり、「現状維持を希望する」人が47%、また、「減らしたい」と考える人も38%存在します。この結果は、労働環境に対する慎重な姿勢を示唆しています。
否定的な意見の背景
調査の中で特に目立つのは、約3割の回答者が労働時間の規制緩和に否定的な考えを抱いている点です。その理由に挙げられるのは、健康問題や意図しない残業を懸念する声です。20代男性は「残業という文化が根付き、残業をしないことに対して居心地の悪さを感じることになるかもしれない」と述べるなど、健康への影響を心配する声が多く見られました。
残業時間に関する実態
また、月々の残業時間に関するデータも興味深い結果を示しました。約7割の回答者が「20時間未満」と回答した一方で、過労死ラインとされる月80時間を超える残業が3%に過ぎないことは、労働環境が改善されつつある兆しと言えるでしょう。ただし、残業代の支払いに関しては「いいえ」と回答する人が23%もおり、依然として不安が残ります。
今後の展望
調査結果を踏まえて考えると、今後の労働時間規制の緩和は、働く人の選択肢を広げる一方で、国や企業には、労働者一人ひとりの身体と精神の健康を保つための仕組みが求められることが分かります。単なる労働時間の増加ではなく、個々の意欲と成長を尊重する環境が必要です。
企業側には、適切な報酬体系や労働環境を整える努力が求められ、その上で労働者自身も自らの働き方を選べる自由が必要です。今後、労働時間の状況がどのように変わり、どのような政策が進められるのか注視が必要です。
本調査結果は今後の労働環境に関する重要な指針となることでしょう。労働環境の改善が、より多くの人々にとって働きやすい社会を築く一助となることが期待されます。