三井物産が低圧液化CO2輸送船の基本設計承認を取得
三井物産株式会社(社長:堀 健一)は、アメリカ船級協会(ABS)および日本海事協会(NK)から、低圧仕様の液化CO2輸送船の基本設計承認(AiP)を取得したことを発表しました。2028年に向けた国際間大規模液化CO2の海上輸送の実現に向けたこの試みは、環境問題への対応として非常に重要です。
この承認は、9月17日に行われた「ガステック2024」会場での授与式にて正式に行われました。様々なエネルギーに関する大規模国際会議の中で行われたこの式典には、業界関係者が一堂に会し、この事業への期待を新たにしました。
低圧仕様の液化CO2輸送船
三井物産と、川崎汽船、商船三井、日本郵船を含む共同体は、液化CO2輸送船の需要が拡大することを見越し、船舶の設計と建造の標準化に取り組んできました。今回承認された船は、5万m3級と2万3,000m3級の2つのモデルで、従来のニッケル鋼の代わりに、より適切なタンク鋼材の適用を考慮しています。
さらに、製造工程においては溶接後熱処理(PWHT)の省略を可能とするエンジニアリング的アプローチであるECA(Engineering Critical Assessment)を採用。これにより、長距離の大量輸送が見込まれるため、大規模な推進力と効率的なコスト管理が期待されます。
CCS事業としての位置付け
この取り組みは、CO2回収・貯留(CCS)技術を活用する各プロジェクトにとって、海上輸送の重要な手段として位置付けられています。国内で回収されたCO2を貯留地に向けて輸送する手段として、LCO2輸送船はその役割を果たすと見込まれています。
三井物産はさらに、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と連携し、マレーシア沖南部でのCO2貯留サイトの採択など、CCS事業の促進に注力しています。そして、グローバルなCCS事業展開を通じ「環境と調和した社会」の実現に貢献することを目指しています。
今後の展望
今後、海上輸送の需要が増大する中で、これらの低圧液化CO2輸送船の早期市場投入を加速させる取り組みが行われる予定です。三井物産をはじめとする連携企業は、CCSバリューチェーンの形成に力を入れ、持続可能なエネルギーの未来をリードすることが期待されています。
この新たな動きは、国際間の液化CO2輸送の大規模化を促進し、より環境に優しい社会への移行を助ける重要な一歩となるでしょう。