スタートアップの可能性を引き出すために—スマートラウンドと大手金融機関の資本提携
株式会社スマートラウンド(東京都千代田区)は、スタートアップの資金調達環境を整えるため、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、野村ホールディングスの三社と資本提携を結びました。この取り組みの主な目的は、未上場企業の株式市場における流動性を高めるためのセカンダリープラットフォームを構築することです。
セカンダリープラットフォームの必要性
近年、アメリカでは上場せずに成長を目指すスタートアップが増加しており、創業からイグジットまでの平均期間は7年から14年に伸びています。こうした背景から、創業者やベンチャーキャピタル(VC)にとって、未上場株式の流動性が求められ、セカンダリー市場の拡大が生まれました。しかし、未上場株式の取引には仲介者が存在せず、市場メカニズムが働かないため、価格が大きく歪められてきました。
日本でも同様のニーズがあるものの、未上場株の取引環境は整っていません。多くのスタートアップにとって、セカンダリー取引における手続きの煩雑さは大きな負担となっています。
新たな流動性提供の取り組み
スマートラウンドは、今回の資本提携を通じて、未上場スタートアップの株式取引を効率化するためのプラットフォームを共同開発することを目指しています。出資元であるみずほフィナンシャルグループは、資本市場の誤解を正すため、新たなセカンダリー取引の形を模索しています。特に、日本のスタートアップが抱える流動性の問題を解決することが急務であると認識しています。
このプラットフォームは、スマートラウンドがすでに提供している「smartround」と連携することで、取引に伴う各種手続きを簡素化し、企業や投資家にとって利便性の高いソリューションを提供します。これにより、スタートアップは自社の株式を流通させながら資金調達を行うことが可能になります。
各社の意見と期待
出資した各社からは、スタートアップを支える重要性についてのコメントが寄せられています。
みずほフィナンシャルグループの椎野武雄氏は、スマートラウンドのミッションに共鳴し、スタートアップへの支援を通じた成長の促進に挑む決意を表明しました。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の桑原昌宏氏は、未上場株式の流通市場を整えることが成功に必要だと強調しました。また、野村ホールディングスの神作秀和氏は、スタートアップ育成が国家戦略の一環として重要視される中で、スマートラウンドの新しいプラットフォームに関与できることを喜んでいます。
スマートラウンドのビジョン
スマートラウンドの代表、砂川大氏はスタートアップが社会課題を解決する重要なプレイヤーであることを強調し、より多くのスタートアップが育つ環境作りの必要性を説いています。データ共有プラットフォーム「smartround」を活用し、企業の資本政策や株主総会などを効率化することで、取引に伴う負担を軽減することを目指しています。
まとめ
このように、スマートラウンドと大手金融機関の協力によって、日本の未上場スタートアップが抱える課題に新たな光が当たりました。今後、スタートアップの可能性が最大限に引き出される社会の実現が期待されます。これにより、経済成長と新しい価値創造に向けた道が開かれることでしょう。