ネイチャーポジティブ技術動向に関する最新レポート
はじめに
アスタミューゼ株式会社が発表したレポートでは、ネイチャーポジティブに関連する最新技術や動向についての分析が行われています。特に「陸/淡水/海の利用による変化」に焦点を当て、その影響を探るためのテクノロジーの進展を網羅的にまとめています。
ネイチャーポジティブとは
ネイチャーポジティブとは、気候変動、生物多様性、資源の再生といった面において自然環境にポジティブな影響を与える活動や技術を指します。特に、自然資本へのインパクトを評価するため、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)などの取り組みが重視されています。
陸/淡水/海の利用による変化
概要
「陸/淡水/海の利用による変化」では、土壌浸食や水質汚染、生息地の分断といった生態系への負の影響を防ぐために、土地や海洋の管理を重視しています。持続可能な開発を進める中で、企業や金融機関がこれらのリスクを把握し、適切な情報開示を行うことが求められています。
分類
アスタミューゼは、この領域を以下の3つに分類しています:
1.
狭義のポジティブ領域 - 自然環境の復元に向けた技術(農業や養殖法の改善など)
2.
広義のポジティブ領域 - 生態系の保護・効率的開発(過剰な開発の防止など)
3.
モニタリング領域 - 生態系の変化を測定・評価する手法
技術動向の分析
アスタミューゼのデータベースを用いて、特許、スタートアップ、論文、およびグラントの動向を分析しました。
特許分析
2012年以降の特許出願数を調査した結果、狭義およびモニタリング領域の出願数が増加傾向にあり、これらは社会実装の進展を示唆しています。特に、狭義領域では淡水や海洋生態系の復元に向けた技術が注目されています。
スタートアップの動向
スタートアップ企業は新技術を実装する先駆者ですが、設立件数は依然として少なく、特に狭義領域においては限られた状況です。しかし、社会的な意義を持つ事業が多く、今後の発展が期待されます。
論文の出版数
論文では、基礎研究が進行中であり、広義領域の出版数が最も多くなっています。また、環境DNAに関する研究も特に注目され、今後の技術開発に寄与することが予測されます。
グラントの動向
競争的研究資金の採択数については、狭義領域では生物多様性の回復を目指したプロジェクトが多い一方で、モニタリング領域では環境DNAに関するプロジェクトが増加しています。資金配分は今後も続く見込みです。
結論
「陸/淡水/海の利用による変化」に関連する技術は、社会実装に向けた基盤が整いつつあります。特に、環境DNAメタバーコーディング技術の進展が、生態系の保護と復元に大きな役割を果たすでしょう。アスタミューゼの今後の研究に期待が寄せられます。
著者:アスタミューゼ株式会社 ミシェンコ ピョートル 博士(工学)