第62回文藝賞受賞作『BOXBOXBOXBOX』の魅力
2025年11月17日、株式会社河出書房新社より坂本湾の最新作『BOXBOXBOXBOX』が発売されます。この作品は、新時代の労働をテーマにしたベルトコンベア・サスペンスであり、第62回文藝賞を受賞した注目の小説です。
物語の舞台は、薄霧が漂う宅配所。そこで安という作業員が、無数の荷物を仕分ける日常の中、ほとんど誰とも会話を交わさずに過ごしています。その中で、彼は箱の中身を想像しながら単調な作業をやり過ごしていくのですが、次第にその妄想と現実が交錯していく様子が描かれています。一度は禁じられた箱の中身を覗こうとする衝動が、物語の核心をひも解く鍵となります。
受賞の栄誉と選考委員の評価
受賞式は2025年11月12日に東京都港区の明治記念館で行われ、多くの注目を集めました。選考委員からは、「この作品は不気味でありながら、心地よささえ感じさせる」と評され、特にその緊迫感と描写の精緻さが高く評価されました。特に小川哲氏は、「この作品は他の候補作とは一線を画し、ぜひ読者に『箱』について考えてほしい」と述べています。
物語の深層と未来への思い
坂本湾は、自身の作品に描かれた4人の人物を通じて「マルチバースの未来の自分」を表現したと語り、彼らの行く末を救う物語を今後も書き続けていく決意を示しました。著者自身が描く「労働」というテーマは、どこか人間の根源的な部分と結びついています。それは、我々の生活や仕事の意味を問いかけるものでもあります。
書店員の絶賛コメント
発売前から全国の書店員たちからも賞賛の声が続々と寄せられています。彼らは、書籍の中で描かれる人間の心理や妄想の境界線の曖昧さに惹かれ、何度も読み返したくなるとの感想を述べています。特に「開けてはいけない箱を覗いてしまったような物語」との声は、作品の不思議な魅力を象徴しています。
書誌情報
- - 書名: BOXBOXBOXBOX
- - 著者: 坂本湾
- - 仕様: 46判/上製/120ページ
- - 発売日: 2025年11月17日
- - 税込定価: 1,650円(本体1,500円)
- - ISBN: 978-4-309-03246-7
- - 装丁: 川名潤、装画: 杉野ギーノス
この作品は、電子書籍版も近日中にリリースされる予定です。労働と妄想の交錯がもたらす新たな視点を、ぜひ多くの人々に体験してほしいものです。