カラクリ、GENIAC第3期採択とオムニモーダルAI開発の意義
カラクリ株式会社が経済産業省及びNEDOの支援プログラム「GENIAC」第3期に採択され、日本特化型のオムニモーダルAIエージェントの開発を加速させることが発表されました。このプロジェクトは、現在の日本のカスタマーサポートが直面する深刻な人材不足や業務効率の課題を解決することを目指しています。
日本のカスタマーサポート業界の課題
日本のカスタマーサポート業界では、少子高齢化の進行と相まって人材不足が深刻化しています。オペレーターは、低賃金で厳しい労働環境に置かれ、クレーム対応やカスタマーハラスメントといったストレスフルな業務に従事しているため、採用が難しい状況です。また、企業が使用している顧客管理システムなど、生成AIとの連携が難しいため、業務の効率化に向けた取り組みも進んでいません。
GENIAC第3期プロジェクトの概要
カラクリはGENIAC第2期で、日本語の指示に基づき日本語GUIソフトウェアを操作できる「コンピュータ操作エージェント」を開発しました。この技術は、世界で初めてAWS Trainium上で開発されたQwen2.5 VL大規模Vision Languageモデルを用いており、さらにGENIAC第3期では音声に対応したオムニモーダル化を図ります。
カスタマーサポート現場での電話応対が多いため、音声による高精度な情報収集と操作が求められます。このプロジェクトでは、顧客の声から情報を取得し、コンピュータを操作してオペレーターの負担軽減を図ることを目指します。
具体的な開発内容
- - 音声操作機能: 顧客の音声入力を認識し、その情報を基にコンピュータを操作します。オペレーターの業務をスムーズに行えるよう支援し、後処理も自動化に注力します。
- - 直感的なAIエージェントトレーニング: 新人オペレーターを教育する形で、口頭での指示に基づいてAIエージェントが学習することが可能になります。
- - API不要のレガシーシステム連携: 既存のシステムを改修することなく、そのまま連携が可能になる技術を提供します。
カラクリの強み
カラクリは2016年に設立以来、カスタマーサポートに特化したSaaSを開発・提供しており、大手企業への支援を行ってきました。数学や情報科学の専門家を含むエンジニアチームが在籍し、優れた技術力で日本独特のカスタマーサポート環境に対応したAIエージェントの開発を進めています。
社会的インパクト
本プロジェクトを通じて期待される効果は以下の通りです:
- - 人手不足の解消
- - 働き方改革を促進
- - カスハラ対策の強化
- - 高齢化社会におけるデジタルデバイドの解消
まとめ
カラクリは、最新のAI技術を駆使してカスタマーサポートの未来を切り開き、人材不足の解消と業務効率の向上を図ることを目指しています。今後の開発に大いに期待が寄せられています。
GENIACについて
GENIACは、国内の生成AI開発を強化するため、経済産業省とNEDOによる支援プログラムです。主にAIの基盤モデル開発へのリソース提供や、実証調査の支援を行っています。