デジタル製品パスポート技術検証の成果
RadarLab株式会社(以下、RadarLab)は、株式会社サトー及び株式会社ナカダイホールディングスとの協力によって、デジタル製品パスポート(DPP)の実証実験を完了しました。この実証は、製品寿命全体にわたるデータ連携の革命を目指すものであり、特にサーキュラーエコノミーの推進に寄与することを目指しています。
PoC(Proof of Concept)の概要
本実証実験では、製造過程や再資源化に関するデータを、従来の中央集権的なデータ管理手法ではなく、個品IDに基づく分散型データ連携モデルで取り扱いました。このアプローチにより、異なる企業間での資源循環が可能であることが実証されました。これにより、製造から再資源化に至る過程の効率が飛躍的に向上します。
1. 社会背景の理解
我々の研究結果は、サーキュラーエコノミーの拡大に伴うデータの重要性を裏付けるものです。製造、流通、使用、回収、解体、再資源化など、各プロセスは異なる企業によって異動されますが、これまで日本のITシステムは主に単一企業内での効率を図る目的で設計されていました。これが、データの断片化や形式の不統一を招き、再利用可能な資源の活用にブレーキをかけていました。
2. RadarLabの役割
RadarLabは、DPPの生成・共有に必要なデータの取り扱いや運用フローの技術的検証を担当しました。DPPの実証運用の中で、企業間でのデータ連携の実現可能性を確認するため、製品情報や素材情報、解体データを個品IDに紐づけました。これにより、異なる工程間でのデータの相互参照が可能となりました。
Meguru-Xを用いた実証実験の成果
本実証実験で最も重要な成果として、以下の3つのポイントが挙げられます。
1.
国際標準「UNTP」の適用:
RadarLabは、UNTP(United Nations Transparency Protocol)に準拠したデータモデルを日本の製造業へ適用しました。この成果により、日本におけるDPPの実装可能性が高まると同時に、国際規格への適応が確認されました。
2.
データ連携ハブの検証:
Meguru-Xというプラットフォームを活用することで、異なるデータ形式や管理システムを持つ企業がスムーズにデータ連携を行うためのモデルを確立しました。
3.
再生材評価基盤の検証:
解体データをDPPに連携することで、再生材に必要な情報を一元的に管理する仕組みが実証されました。これは、品質向上に資する重要なステップです。
今後の展望と課題
実証実験を通じて、DPPの社会実装に向けた課題も浮かび上がりました。特に、企業間での循環設計思想の統一や、データ標準化の必要性が強調されました。RadarLabはこれらの課題に対処し、持続可能な社会の実現に貢献するため、今後も技術開発を進めていきます。
RadarLabの企業情報
RadarLabは、東京都中央区で設立され、資源循環データを活用したビジネスモデルを推進する企業です。彼らの取り組みは、環境にやさしい未来を構築するための基盤を提供します。
所在地: 東京都中央区銀座一丁目22番11号 銀座大竹ビジネンス 2F
代表者: 禹 ナリ
設立: 2018年8月
企業HP:
RadarLab公式サイト