世界最大の生分解性3Dプリント建築、万博での挑戦
2024年に開催される大阪・関西万博。ここに新たな試みとして、生分解性樹脂を使用した3Dプリント建築が登場します。このプロジェクトは、株式会社ダイセルと株式会社竹中工務店の協力により実現し、自然との共生をテーマにした「森になる建築」として、来場者に癒しの空間を提供します。
プロジェクトの背景
このプロジェクトで使用される酢酸セルロース樹脂「CAFBLO®」は、植物由来の素材であり、環境に優しいだけでなく、生分解性を持っています。これにより、使用後の環境への影響を最小限に抑えることができます。この試みは、物質的な豊かさよりも持続可能性を重視する現代のニーズに応えるものです。
建築の詳細
「森になる建築」は、万博会場内の「大地の広場」に位置し、2024年8月から建設が始まります。全体の工期は2025年4月までを予定しており、最終的には直径4.65メートル、高さ2.95メートルの2棟の建築物が完成します。外装には手すきの和紙や植物が使用され、内装には「CAFBLO®」が施される予定です。これは、一見すると自然と一体となった美しい建築物となることでしょう。
環境への影響
使われる素材、酢酸セルロースは植物由来であり、海洋生分解性も備えています。木や綿花などの非食用材料を使用しているため、食糧問題にも配慮されています。この建築物は、持続可能な建築手法の新たなステージを示すもので、今後の素材選びに影響を与えると期待されています。
ギネス世界記録TM認定
2024年10月25日には、「生分解性樹脂を構造材として一体造形した、世界最大の3Dプリント建築」ということでギネス世界記録TMに認定される予定です。この記録達成は、プロジェクトに関わる全ての関係者にとって大きな成果であり、世界に向けて新しいスタンダードを提案する象徴的な出来事となるでしょう。
未来への希望
「森になる建築」は、単なる過渡的な施設ではなく、訪れる人々に自然の美しさを再認識させ、環境意識を高める役割も果たします。2025年4月の完成に向けて、伝統的な和紙や植物の種を用いた外装工事、さらには緑化工事も進行中です。この建築物が、未来における持続可能な社会の重要な一歩となることを願ってやみません。
この物語は、生分解性素材とアートが交差する未来を描いています。「森になる建築」は、単なる建物ではなく、私たちの地球に対する新たな誓いなのです。