ノイルイミューンとタカラバイオがNIB103開発で提携
ノイルイミューン・バイオテック株式会社は、本日、タカラバイオ株式会社との業務提携契約を発表しました。この提携は、ノイルイミューンの固形がんに対するCAR-T細胞療法の一環であるNIB103の共同開発を目的としています。ノイルイミューンは、NIB103を最優先のパイプラインと位置付け、その開発に全力を挙げて取り組んでいます。
タカラバイオは、遺伝子改変T細胞療法の分野で豊富な経験を持ち、特にCAR-T細胞やTCR-T細胞の製造において高い技術力を誇ります。この提携により、ノイルイミューンはNIB103の国内製造体制を確立すると同時に、開発の効率化と加速化を図ることが期待されます。
共同開発契約の詳細
この契約に基づき、ノイルイミューンはタカラバイオと共に、日本国内でNIB103の開発を進行します。タカラバイオは治験用製品および商業用製品の製造を担当し、その費用も負担することになります。一方、ノイルイミューンは日本国内での製造を除き、全ての開発業務および製品の販売を独占的に担います。また、海外におけるNIB103の開発権は引き続きノイルイミューンが保持します。この業務提携が実現すれば、両社は迅速な製造開始が可能となります。
NIB103とは
NIB103は、ノイルイミューン独自のPRIME技術を用いたCAR-T細胞で、患者自身のリンパ球を用いた自家製の細胞療法です。この治療法はトリプルネガティブ乳がん、大腸直腸がん、卵巣がん、すい臓がんなどにおいて、特にMesothelinをターゲットとします。日本国内での対象患者数は年間約60,000人、全世界では367,000人に達するとされています。
CAR-T細胞療法の原理
CAR-T細胞療法は、患者に血液から採取したT細胞に人工的な遺伝子であるCARを導入し、がん細胞を見つけ出して攻撃する能力を持たせるものです。これらの改良されたT細胞は、培養後に患者に投与され、がん細胞を効果的に攻撃します。
PRIME技術の優位性
ノイルイミューンが開発したPRIME技術は、CAR-T細胞を改良し、がん局所において多くの免疫細胞を集積させることを目指しています。この技術は、がん治療の効果を向上させる可能性を持ち、さらなる技術進展が期待されています。
タカラバイオの役割
タカラバイオは1979年に設立し、遺伝子工学・細胞工学研究用の製品を広く提供しています。近年では、再生医療や遺伝子治療分野において、製薬企業やバイオベンチャーとの連携を強化し、さらなる業務拡大を進めています。健康的な生活をサポートすることを企業の理念として掲げているタカラバイオは、今回の提携を通じて、がん治療の新たな道を切り開く役割を果たすことでしょう。
この業務提携は、がん患者に向けた新しい治療の実現を目指し、医療の最前線での革新につながることが期待されます。