植物の非可食部からエタノールを効率的に生産する新技術開発

植物非可食部からエタノール生産の新時代

2025年8月28日、株式会社豊田中央研究所はトヨタ自動車と共同で植物バイオマスの非可食部からエタノールを効率的に生産する新たな発酵プロセスを開発したと発表しました。このプロセスは、特に植物の非可食部に含まれるセルロースやヘミセルロースから高い変換効率でエタノールを生産できる技術として注目されています。

発酵プロセスの概要

新しく開発されたこの発酵技術では、トヨタが独自に改良した酵母菌「TOYOTA XyloAce™」が用いられています。限られた資源を効率的に利用するため、発酵プロセスはそれに最適化された植物バイオマスを用いることで、理論的なエタノールへの変換効率が95％以上に達することが可能となりました。この技術は2024年に竣工予定の次世代グリーンCO2燃料技術研究組合の施設で活用される予定です。

研究の背景と課題

バイオエタノールの生産は、持続可能なカーボンニュートラルなエネルギーとして増々注目されています。しかし、これまでのエタノール生産方法では、第一世代のバイオエタノールが食料と競合してしまうことが問題視されていました。そのため、非可食部からの第二世代バイオエタノール生産技術の開発が求められていたのです。

特に、植物の非可食部に含まれる食物繊維、すなわちセルロースやヘミセルロースをどのようにしてエタノールに変換するかが大きな課題でした。これらの成分はそのままでは酵母菌によって発酵されず、一部の糖は利用できず、発酵阻害物性も強いのが問題とされていました。

新たなトライアルと成果

このたび、豊田中央研究所はトヨタ自動車と共同で、トヨタ酵母菌の性能を最大化するための発酵プロセスを開発しました。特定の植物バイオマスに合わせて最適化し、酵母菌の性能自体も向上させる取り組みによって達成されました。

トヨタ酵母菌は、発酵阻害物に対して強い耐性を持ち、加えて通常の酵母が行えないキシロースのエタノール変換も可能です。これらの特性を生かすことで、様々な植物バイオマスに対しても高効率なエタノール生産が可能になるのです。

未来への期待

本研究の成果は、持続可能なエネルギー生産への大きな一歩とされ、カーボンニュートラル社会の実現に寄与することが期待されています。植物バイオマスを利用することで、温室効果ガスの削減にも貢献できるこの技術は、現代社会において必要不可欠となるでしょう。

豊田中央研究所の研究成果は、第77回日本生物工学会および化学工学会第56回秋季大会においても発表される予定です。新たな発酵技術によるエタノール生産の進展に、今後の注目が集まります。

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