ダ・ヴィンチ手術の革新
2020-11-24 10:00:05

高画質・低遅延ダ・ヴィンチ手術の遠隔指導実証実験の成果

はじめに


札幌医科大学の竹政伊知朗教授と天馬諮問株式会社が共同で進めた、ダ・ヴィンチ手術の遠隔指導に関する実証実験が注目を集めています。この実験は、高画質かつ低遅延での手術映像をリアルタイムで確認しながら指導する新しい方法を試みたもので、その成果は医療現場における大きな可能性を示唆しています。

1. 実験の目的と背景


新型コロナウイルス感染症が拡大する中、対面でのプロクタリングが難しくなっています。そのため、医療現場では遠隔指導の必要性が増しています。しかし、従来のシステムでは映像の遅延や不安定さが問題視されていました。これに対抗する形で、今回の実証実験では、一般的なインターネット回線を使用し、リアルタイムで高精細な術野映像を送信することを目指しました。これが実用的に機能するかどうかが焦点となりました。

2. 実験の方法


実験は2つの部分に分かれています。まず、実証実験1では、札幌医科大学手術室からda Vinci Surgical Systemの3D術野映像を、院内LANを通じて別棟の医局に送信しました。この映像は、天馬の技術を使って圧縮され、医局内で視覚化されました。

次に実証実験2では、内視鏡の2D術野映像を東京の研修医が操作し、札幌の医局から竹政教授がリアルタイムでプロクタリングを行う環境を構築しました。この遠隔指導では、多様なアノテーションを追加しながら、手術の進行に対して具体的な指示を出すことが可能となりました。

3. 実験結果


実験の結果、札幌と東京間での映像遅延は、最小で0.0135秒、平均で0.027秒という驚異的な数値が記録されました。このレベルの遅延は、医療現場での実運用に耐えるものであり、指導医の少ない環境に対しても効果的なソリューションとして機能することが期待されています。特に指示の正確性が保たれた状態で作業が進行できる点が大きな利点です。

4. 技術の特性


今回の実証実験では、高画質な映像を安定して伝送するための技術が鍵を握りました。従来のシステムより低い帯域幅でリアルタイムの映像を配信できる点や、高価なハードウェアデコーダ不要のソフトウェアベースのエンコーディング技術などがその要因として挙げられます。これによって、様々な環境での導入が可能となり、普及の障害が大幅に軽減されました。

5. 今後の展望


今後、この技術が確立されれば、医療現場における遠隔指導のあり方が大きく変わることが予想されます。特に、指導医と医師のコミュニケーションがより円滑になり、早期に高度な技術を習得できる環境が整うことが期待されます。また、動画に加え、音声指示やアノテーションの同時配信が可能になれば、より一層臨場感のある指導が実現可能になるでしょう。

6. 竹政教授とは


竹政伊知朗教授は、消化器・内分泌外科領域の専門家であり、2016年にはプロクターとして認定されています。多くの症例に関与してきた経験があります。教授の知識と天馬諮問の先進技術が組み合わさり、今回の実験が成功を収めるに至りました。

7. 天馬諮問株式会社の役割


天馬諮問株式会社は、通信技術に特化した企業として、映像圧縮転送技術の開発を進めています。同社の技術は、医療現場だけでなく様々な分野へも応用が期待されています。両者の連携によって、今後の医療がより一層進化していくことが期待されます。

おわりに


高画質・低遅延のダ・ヴィンチ手術遠隔指導の実証実験が示すように、テクノロジーの進展が医療現場の現状を打破する鍵を握っています。医療従事者不足やコストの問題にも対応できる新たなモデルが求められています。そのための技術革新が今後も続くことを期待しましょう。

会社情報

会社名
天馬諮問株式会社
住所
東京都港区麻布台3-2-7サウスヒルサイド麻布台5F
電話番号
03-6807-4423

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