日立産機、再エネ対応の新インバータ設備を導入
株式会社日立産機システムは、千葉県習志野市に次世代のパワーコンディショナ「グリッド・フォーミング・インバータ(GFM)」の設備を新たに実装しました。この設備は、2025年4月より運用が開始される予定で、再生可能エネルギーの普及が進む中、電力供給の安定化に向けた重要な役割を果たすことが期待されています。
再生可能エネルギーの普及と電力安定供給
再生可能エネルギーは、地球環境への配慮から重要視されていますが、その導入が進むと電力供給における「慣性力」が不足するという新たな課題も浮上します。通常、火力発電所などは、重量のあるタービンを用いて電力供給の需給バランスを保ちながら周波数を維持していますが、火力発電所の使用頻度が下がると、この慣性力が不足する恐れがあります。そこでGFMは、疑似的にこの慣性力を作り出し、電力系統の安定化を図る技術となっているのです。
グリッド・フォーミング・インバータ(GFM)の機能
GFMは、仮想同期発電機制御(VSG)と呼ばれる技術を駆使しています。これにより、電力系統の不安定要因に対処し、カーボンニュートラル社会の実現に向けた電力供給の柔軟性を向上させることができるのです。また、GFMは自ら電力系統を生成でき、自治体や企業によるマイクログリッドの構築が可能なため、地域の電力レジリエンスを高めると期待されています。
設備の詳細とその効果
習志野事業所には、合計81.9kWの太陽光発電設備が新配置され、そのうち54kWは新設、27.9kWは既設です。このシステムは、主に太陽光エネルギーを利用し、年間で約39.2トンのCO2削減を見込んでいます。システムは主に二つの部分で成り立っています。一つは、GFMによって形成される交流マイクログリッド、もう一つは省CO2及び災害時のレジリエンスを実現する直流マイクログリッドです。この二つのシステムにより、停電時でも自立した電力供給が可能となり、事業所内の必要な電力を確保することができます。
1.
交流マイクログリッド: GFMが自律系統を形成し、安定的に給水ポンプや放送設備への電力供給を行います。特に、太陽光の変動による発電電力の変動に対しても、一時的な停止を避けることが可能です。
2.
直流マイクログリッド: 直流給電網を利用し、エネルギー効率の良い直流での運用が可能です。余剰電力は蓄電池に充電され、商用交流系統に供給することで無駄をなくしています。このシステムは、環境省からの補助金支援も受けています。
未来への展望
日立産機は、GFMを通じた新しい技術を実現し、日本の電力供給システムを変革する一助となることを目指しています。より持続可能な社会の実現に向けて、さらなる協創を進めていくことでしょう。詳細な技術や習志野事業所の映像は、公式YouTubeチャンネルで公開されていますので、是非ご覧ください。
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株式会社日立産機システムの取り組み
日立産機システムでは、コンプレストエアやドライブ、マーキングなど、幅広い分野で高効率な製品を提供し、多様な業界の生産性向上に寄与しています。持続可能な社会の実現を目指し、革新的なソリューションを提供しています。詳細については、
公式ウェブサイトをご覧ください。